18.許せる運命 ページ18
[ジュダル]
いつも俺の事、
貴方としか言わなかったくせに
初めて名前で呼ばれて
少し心がくすぐられるような感覚になった。
俺はそうかっと言って、
直ぐに目線を逸らしてしまったが。
暫く無言が続き、
Aから口を開いた。
A「私ね、恥ずかしいことに
こんなにマジかに花畑を見るの初めてなの。」
ジュダル「Aの住んでいた故郷には
花は咲かなかったのか?」
A「ううん。咲いていたよ。
どんなのかは忘れちゃったけど。
でもお花に目をつけてる暇がないくらい
剣士の修行が大変だった。
だからこうしてゆっくりと眺めることが出来て
本当に幸せだよ。」
ジュダル「っ…………そんな顔出来るのかよ。」
A「え、………?」
本人は無自覚だろうが、
いつもの真面目な顔とは違って、
女らしく微笑んでいる。
素直に綺麗だと思った。
俺は手をAの頬に伸ばし、触れる。
A「え、………あの…?」
彼女の暖かい体温が
とても心地よかった。
ジュダル「花びら、ついてるぜ。」
なんて嘘をつけば
彼女はすぐ信じてテンパる。
こうしてりゃ普通の女なのになぁ。
剣士や金属器使いとして強いのも悪くないが、
少し勿体ない気もした。
A「ねぇジュダル。
もう1つオネダリしていい?」
ジュダル「なんだぁ?」
A「紅玉が花冠を作るの楽しいって言ってたの。
作ってみたいんだけど、やった事なくて…
教えて欲しいな…。」
頼られた気がして、嬉しかった。
ジュダル「いいぜぇ。
だが、ちまちま作るの面倒くせぇだろ。
こうして………ほい!」
俺は魔法で花冠を作った。
A「わぁ!!凄い!!
とっても綺麗……!!これが花冠なんだ!」
ただの花冠なのに、
こんなにはしゃぐなんてまだガキだなぁ。
俺は花冠をAの頭にのっける。
肌が白くて顔が整ってるこいつには、
絵になる見てぇに綺麗だった。
A「っ…………どうかな?//」
ジュダル「いいんじゃねぇか。」
素直に似合ってるって
口に出せなかったが俺なりに褒めた。
気まぐれであの時バルバッドに行って
軽く喧嘩をうっていたが、
まさかこんな奴に出会うと思っていなかった。
運命とやらを憎んでいたが、
この女に出会えた運命は
良かったのではないかと思った。
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作者名:花月 | 作成日時:2020年9月23日 3時