episode64 ※ STORM BRINGERキャラ有 ページ18
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『──それで、その時思ったんです。私は、ただ迷わず中也さんを信じていればいいんだなって』
恍惚とした表情で、頬に手を添え目を伏せるA。
彼女の目の前には、一人の男。男は足を組み、Aが持ち込んだ西洋菓子を物珍しそうに眺めている。そうしてAが話を終えると、「それで」と口を開く。
「何故それを俺に話す?」
男──ポール・ヴェルレエヌは視線を手元の西洋菓子からAへ移す。その瞳に映る色は、読み取ることができない。
『話を聞いて頂ければ誰でもよかったので、特に理由はありません』
「……」
『…まぁ、強いて云うなら貴方が中也さんの“兄”だからです』
Aの言葉に、ヴェルレエヌの表情は途端に険しくなる。
が、Aはさして気にした風もなく『それにしても、本当に地下で過ごされてたんですね』と興味深そうに辺りを見回している。
『…そう警戒しないでください。昔話を掘り起こす気はありません。先刻の発言も、“貴方ならきっと中也さんへの想いの丈を傾聴してくれる”と思ったからで、他意はありません』
「なら君は、君が如何に中也を崇拝しているかを俺に説く為だけにわざわざここまで来たと?ご多忙な準幹部様が随分と余裕があるようだ」
『……本来五人居るべき幹部のうち実働は二人のみ、残りは空席、成金、引き篭もり。その直下にいる身としては、たしかに なかなか多忙な日々を送っていると自負はしてます。でも、世の中息抜きも必要でしょう?』
ニコリと笑みを浮かべるAにヴェルレエヌは小さく息を漏らすと、「そうだな」と同意の意を示し、パクリと一口西洋菓子を口に含んだ。
「……美味いな」
『有名な菓子製造人が作ったものです。お口に合っていたようで安心しました。……ところで、一つお願いがあるのですが』
「……中也の話をしに来ただけだったのでは?」
『私は一言も、用件が“其れ”だとは云っていませんが』
Aの言葉を受け今度は盛大に、二度目の溜息を吐いたヴェルレエヌは、「君の相手をするのは骨が折れるな」と呟いた。
そして再びAを見据えたとき、その表情は確かにポートマフィア五大幹部に位置する男の顔だった。
「それで、用件は」
『…私に教えて欲しいのです。貴方の、全てを』
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暁月臨(プロフ) - きなこもちさん» きなこもちさんのペースで頑張って下さい!! 気長に待ってます!!(*≧∀≦*) (6月21日 21時) (レス) id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 暁月臨さん» 暁月臨さん嬉しいお言葉ありがとうございます、更新止まり気味ですがそう言ってもらえるととても励みになります!頑張りますm(_ _)m (6月21日 18時) (レス) id: 869b2e483e (このIDを非表示/違反報告)
暁月臨(プロフ) - この作品大好きです!更新よろしくお願いします!!頑張って下さい!!! (6月18日 23時) (レス) @page20 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
ミミ(プロフ) - きなこもちさん» 了解しました! (2021年11月11日 12時) (レス) id: 3c71f1d526 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - ミミさん» 私の端末が最近重くてボード開かないので、確認出来次第お返事します、すみませんm(_ _)m (2021年11月11日 0時) (レス) id: 8cb9599803 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2021年9月23日 20時