episode25 ページ27
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「よもや、君は確か冨岡の妹弟子の少女か」
ある日の昼下がり、任務帰りで空腹に襲われたために立ち寄った定食屋で。
柱に遭遇するなど、誰が想像できただろうか。
「俺も先程立ち寄ったばかりだ、よかったら一緒に食べないか」
そう言って己の向かい側の席を勧めてくるのは炎柱の、名前は煉獄さんと言ったか。
『…いえ、柱の方とご一緒するなんて恐れ多いですし遠慮させて頂きます』
「食事は一人より二人の方が旨いからな!君は何を食べる?俺は既に決めてある!」
『……』
彼はなかなかにいい意味で、人の話を聞かない人であった。
二度も断るのは失礼だし申し訳ないと思い、彼の向かい側に腰を下ろせば、すかさず品書きをこちらに寄越してくる。
『ありがとうございます』、と礼を言ってからそれを受け取って店主に注文を取ってもらった。
聞けば、此処は煉獄さんの行きつけの店だったらしい。
「さつまいもの味噌汁がとにかく旨い!あとご飯も旨い!」
そう言って笑う煉獄さんは、とても豪快だけれど纏う雰囲気はとても優しくて、義勇とは真逆の人だったけれど、何処か心地よさを感じた。
『君は冨岡に似ていてあまり表情も変わらないな!」
『…すみません』
「むっ、謝ることはない。俺の言い方が悪かったな。穴があったら入りたい!…誤解されることも多いだろうが、常に冷静でいられること、感情を相手に悟らせないことは強みだと俺は思う」
『……!』
少し話した程度だけれど、正義感の強さや精神力の強さが、何処か彼に似ていると、そう思った。勿論彼の方が断然落ち着いているけれど。
「ところで茅ヶ崎、俺の継子にならないか。面倒を見てやろう!」
『……』
どうしてこうも、柱の方々は直ぐ“継子になれ”なんて簡単に言うのだろう。
そもそも煉獄さんは私の太刀筋が如何程なのか知らないだろうに。
それを伝えれば、彼は「確かに実際に見たことはないな。だが茅ヶ崎の噂は予々聞いている。それに宇髄と不死川からも君の太刀筋が良いと評判だ」、と豪快にそう言った。
『…身に余るお言葉ですけど、私は継子にはなれません。すみません』
ぺこりと頭を下げる私に煉獄さんは「そうか、残念だな!だが気が向いたら声を掛けてくれ!」と、どこかで聞いたような台詞を言ってから「この話は終いだな!」と話を強制終了させて出された料理をこれまた豪快に平らげていった。
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きなこもち(プロフ) - ひかるさん» 観閲ありがとうございます、とっても嬉しいです! (2022年5月8日 19時) (レス) @page50 id: 869b2e483e (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - すごく面白いです! (2022年5月8日 15時) (レス) @page25 id: 97f5eb0e61 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - いいさん» いいさん嬉しいお言葉ありがとうございますm(_ _)m。マイペース更新ですが頑張りますのでこれからも見ていただけたら嬉しいです! (2021年10月19日 15時) (レス) id: 8cb9599803 (このIDを非表示/違反報告)
いい - 一瞬で心鷲掴みにされました!応援してます!頑張ってください! (2021年10月17日 9時) (レス) @page47 id: ac051c4e24 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 凌雲さん» 嬉しいコメントありがとうございます!とても励みになりますm(_ _)m (2021年9月23日 10時) (レス) id: 8cb9599803 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2020年4月5日 17時