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episode26 ページ28




煉獄さんの、その食べっぷりもさることながら途中途中で「わっしょい!!」と謎の掛け声が繰り出された時は不躾な視線を送ってしまったが、それも五度目になるあたりには慣れて、何も感じなくなった。



義勇と食事する時は、二人とも食べながら話すとこができないからとても静かな食卓になるけれど、煉獄さんは私が頷きや偶に相槌を返す程度でもよく喋っていたから、とても賑やかな食事になった。



私が大した反応を示さなくても、ただ反応が薄いだけで話自体に興味がない訳ではないと理解しているのか、はたまた何も考えていないのか。
煉獄さんは側近の任務で印象に残ったことや隊士の在り方、日頃の鍛錬についてなど色々なことを話してくれた。


日頃から義勇以外の人とあまり話す機会が無いため、煉獄さんの話はどれも新鮮で、こんな私にもとても楽しそうに言葉を繋ぐ姿を見て、きっと裏表のない人なのだろうなと、そう思った。






お互い食事が終わって、気づけば勘定の際に煉獄さんが私の分まで支払ってくれていて。申し訳ないと思いつつ素直に礼を言えば、煉獄さんは軽快に笑った。

「気にするな、俺がそうしたかっただけだ。それに全くの下心がないわけじゃない。俺は今日、話をして君に興味が湧いた。だから、これは押しつけの貸しだ」

そう言って、楽しそうに笑う素直なところもやはり、少しだけ彼に似ているなと、思ってしまったから。








『…もし、今度お時間頂けるなら手合わせ願いたいのですが』



気づけばそう口走っていた。



きょとんとする煉獄さんを見て、継子になることを断っておきながら多忙の柱に向かってとんでもないことを口にしているなと自覚する。


『…あの、』

「よもや!まさか君の方から申し出てくれるとは願ったり叶ったりだな!」


けれど煉獄さんは私の意に反して、それはそれは嬉しそうにこのふざけた申し出を快諾してくれた。




「約束しよう。近いうち、必ず水柱邸に行って君と朝から晩まで鍛錬しよう」

『……』


煉獄さんに両の手を握られ、更にずいっと顔を近づけた上でそう言われるものだから、あまりの食いつきっぷりに驚いて何も言葉が出ない。
義勇との鍛錬だって長くても半日なのだから、朝から晩までなど私の体力が持つはずがない。
そもそも多忙な柱が朝から晩まで手隙になる時などあるのだろうか。




色々な思いが脳内を駆け巡って、結局最後に出た結論は“彼に似ていると思ったのは勘違いかもしれない”だった。

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きなこもち(プロフ) - ひかるさん» 観閲ありがとうございます、とっても嬉しいです! (2022年5月8日 19時) (レス) @page50 id: 869b2e483e (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - すごく面白いです! (2022年5月8日 15時) (レス) @page25 id: 97f5eb0e61 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - いいさん» いいさん嬉しいお言葉ありがとうございますm(_ _)m。マイペース更新ですが頑張りますのでこれからも見ていただけたら嬉しいです! (2021年10月19日 15時) (レス) id: 8cb9599803 (このIDを非表示/違反報告)
いい - 一瞬で心鷲掴みにされました!応援してます!頑張ってください! (2021年10月17日 9時) (レス) @page47 id: ac051c4e24 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 凌雲さん» 嬉しいコメントありがとうございます!とても励みになりますm(_ _)m (2021年9月23日 10時) (レス) id: 8cb9599803 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこもち | 作成日時:2020年4月5日 17時

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