旅立ち ページ23
Aside
遂にロシアにやって来てしまった。
ロシアにあるカザニという街の土を踏み締め、これから待ち受ける自分の運命を想像する。
空港で出会したアメリカ代表スターユニコーン、スペイン代表バルセロナオーブと共に建物を出る。
民族衣装を纏い、軽快なステップを踏む銀髪の少年たちが出迎えてくれた。
「僕はフロイ・ギリカナン。これから剣を交える皆さんにご挨拶を」
私もよく見覚えのある、フロイ・ギリカナン率いるパーフェクトスパーク…………ロシア代表チームだ。
ロシアチームは全ての選手が全てのポジションを担うことが出来る、才能と実力双方を兼ね備えている。
アメリカ代表もオリオンに楯突いている今、このグループA共通の敵はロシアという事になっているが…………。
訝しげな視線がロシアに集まるが、そんな事気にもとめずフロイは話を続けている。
「わざわざ空港まで来てくれてありがとうな」
「いえ！神聖なる代表チームを迎えるのは当然のこと。皆さんにお会いできて光栄です、あなたは日本代表キャプテン円堂守ですね？」
「俺のこと、知ってんのか？」
「当然です！ここに居る皆さんの事は、全て頭に入っていますよ」
自分の頭を叩き、フロイは満面の笑みを浮かべる。
グループAのチームひとつひとつの特徴を述べ、最後に自分のチームの紹介を行う。
「………御出迎え感謝する。我々も貴方と対戦するのが楽しみだ」
「僕らは負けませんよ、絶対に」
「それはこちらも同じ気持ちだ」
フロイとクラリオの間に火花が散ってみえた。
「オリオンの犬が」
「やめろ、試合で思い知らせるだけだ」
というスペインの話し声が聞こえた。
「では皆さん、試合までロシアの街を楽しんでください。ああ、そうだ！皆さんに言っておくことがありました！」
くるりと振り返ったフロイは笑顔から真剣な顔になり、目を閉じる。
「今オリオン財団の息がかかった選手が試合をコントロールしている…………なーんて噂がありますが、御安心ください！我々ロシア代表にオリオンの使徒は一人もいません」
「…………え？」
「我々ロシア代表は、オリオンを認めない。」
三チームが共通の敵と見なしていたロシア代表の突然のカミングアウトに誰もが目を剥いた。
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作者名：るぴゃん x他1人 | 作成日時：2020年3月18日 8時
