一星 ページ19
Aside
場所も書かないで�猴茲き瓩世韻覆鵑董�
練習場にはいないし、自分の部屋だろうかと思い至り練習を抜け出して一星の部屋に向かった。
その予想は見事に当たり、一星と確か岩戸先輩の部屋では一星が不機嫌そうにベッドに腰をかけていた。
「ちょっと遅いなあ………」
「場所も書かないでいきなり呼び出されてそんな早く行けるわけ」
「あれ、口答え？いいのかなあ…………」
と言われて口を噤む。
下手に逆らえば告げ口されて、盾が消え、私も使徒になってしまうかもしれない。
「こっち来いよ」
恐る恐る、一歩一歩確実に踏み締めながら近付くと腕を強く引っ張られた。
「きゃっ」
顔の横にある自分のものではない腕、誰かに掴まれている私の左手首、目の前にある一星の顔、背中で感じる布団の感触。
自分の上に覆い被さる一星を見て、ベッドに押し倒されたと理解するまで時間を要した。
「遅刻した上に言い訳する悪い子にはお仕置だよな」
「ご、めんなさい………」
笑っている一星と、力を込めてもビクともしない左手に怖くなって反射的に謝った。
ただでさえ近かった一星の顔が更に近づいてきて。
唇と唇が重なりそうになった時、ドンドンと部屋の戸を叩く音がして一星の接近は止まる。
「一星くんいるでゴスか？」
同室の岩戸の声に一星は舌打ちをして私に掛け布団を掛ける。
「はい、どうしましたか？」
「練習に来てないから心配になったでゴス。どこか悪いでゴスか？」
「いえ、大丈夫です。すみません心配かけて、すぐ行くので先に行っててください」
「分かったでゴス」
やがて、岩戸が去ったらしい音を聞くと私は布団から顔を出した。
一星と目が合うが、特になにかしてくる様子もない。
曰く、「興ざめだ」らしい。
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作者名：くつる | 作成日時：2020年3月15日 3時
