*5 ページ6
先生の軍師学校はきっと王宮よりも大きく広い。
多くの食客を抱えるにはこれくらい広くないと割に合わないのかもしれない。
私と蒙毅は一段一段を踏みしめるように先生たちのいる講義所のある建物まで階段を登っていく。
*
いつも講義所からは締め切られた扉からも熱気が漏れ出ていて、軍師を目指す者の熱意が感じられる。
幼かった私にとってはそこはの男達との戦場でもあり、先生の近くへ長く居ることが出来る安心の場でもあった。
「ただ今帰りました」
私は勢いよく扉を開けた。
今まで議論が白熱していた講義所はうって変わり突然静かになる。
「遅かったな。お前が道に迷わぬよう、蒙毅を遣ったのだが......」
先生は今まで読んでいた木簡から目を離し、困ったようにほんの少しだけ眉を潜めながらこちらの方を向く。
普段から特に表情に変化のない先生だが、長くそばに居るにつれて、少しの表情の変化でも先生の気持ちがだいたいは分かるようになってきた。
「あ.......、いろいろと昔話をしていたので。なにか急ぎの用でもありましたか?」
笑顔でごまかす私に先生はとても静かにため息をついた。
「そういえば、昔から
「蔡沢殿.......」
ひょっひょっ、と笑うその声に私は慌てて目をきょろきょろとさせる。
間違いない、この声は蔡沢様だ。こんな大男たちの中では蔡沢様は小さ過ぎて見えない。
やっと探し出したと思えば、先生の隣にちょこんと座っていた。
私と蒙毅は男達の間を潜り抜け、先生たちの座る床よりも一段高くなっている場所に腰を下ろす。
その様子を見届けた男達はまた白熱した議論を交わし始めた。
234人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「逆ハー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
涼(プロフ) - llmzさん» コメントありがとうございます!!蒙恬かっこいいですよね!珠海平原での蒙恬は鼻血ものです笑オチはまだ考えてないけど、考えときます笑これからもよろしくお願いします! (2019年7月6日 7時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)
llmz(プロフ) - 更新ありがとうございます。毎日楽しく読まさせて貰っていて、とても続きが気になります!蒙恬推しの私からするとオチは蒙恬がいいなと思います。てへ。お忙しいとは思いますが陰ながら応援しています。コメント失礼致しました。 (2019年7月5日 21時) (レス) id: 13d9da937b (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - 仙花さん» いえいえ、私もこの機会に中国史について色々振り返れたので、楽しかったです!このような機会をありがとうございました!! (2019年6月17日 16時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)
仙花 - 羋というのは楚の王族に使われる姓だと聞いたことがあったので、熊啓が名前なんだと私は解釈してましたが、熊という名前にそんな意味があったんですね。分かりやすい説明ありがとうございます。 (2019年6月17日 15時) (レス) id: 8f9569ed44 (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - 仙花さん» コメントありがとうございます!昌平君の本名についてはまた本文で言及させて頂きたいとおもうので、そちらを見ていただけると嬉しいですm(_ _)m (2019年6月16日 22時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:涼 | 作成日時:2019年6月14日 20時