琥珀色の夢【キングダム】

＊46（蒙恬side） ページ48

やばい。完全に騙された。

俺と王賁は盗賊から聞き出した盗賊団の根城へと馬を走らせていた。

先程、盗賊を捕まえた時、盗賊から聞いたけど、盗んだものは何も無くて、あれはただの演出だと。
今頃、Aは人攫いにあっている、とのこと。

いつもなら、見た目が男らしいから、誘拐されることなんてないけど、今は違う。

あの美しさは凶器だ。
秦の宝石とあだ名されるAををほっとくヤツなんて何処にもいない。

「おい、蒙恬。お前と哶熊Aはとはどういう関係だ？」

「そんなこと聞いてくるなんて、珍しいね、王賁。ただの幼馴染だよ」

俺は前を向いたまま馬を走らせる。

「そうには見えぬ。蒙恬、貴様は.......」

「おっと、それ以上は言わせない。言っとくけど、Aは王賁には譲らないから」

「それはあいつが決めることだ」

いつもとは何ら変わらないような無表情で、王賁は力強く言う。

ああ、なるほど。王賁もずっと前からAのことが好きだったのか。

だから、さっきAが女の子だと分かって安心していたのも理解ができる。

今まで、王賁も王賁で男を好きになってしまった、と苦悩していたのだと思うと、可哀想になってくる。

「なんだ？」

哀れみの目で、王賁の横顔を見ているとまるで虫けらでも見るような目でこちらを見てくる。

「いや、なんでもない。急ぐよ」

馬を進めるにつれてだんだんとあたりは暗くなってきた。

本当にこの道であっているのか時々不安になったけど、とりあえずは馬を進めるしかない。

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