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「なんで、いつもいい時に現れるかなぁ。もしかして、俺のストーカーなの?王賁は」
「だれが貴様のストーカーだ。刺すぞ」
髪の毛をかきあげながら、若干呆れたように言う恬に私はイラッとする。
びっくりしたのと同時になんだか、やりきれない感情が溢れてくる。
別に、小さい頃から見慣れてる顔が近くに来ただけで、何とも感じなかった.......はずなのだけども。
「お前の方こそさっきのはなんだ?」
「ちょっとちょっと、怒らないでよ。Aも俺がイタズラ好きなの知ってるでしょ?許してよ」
「イタズラにしては度が過ぎる。私たちはもう子供じゃないんだぞ?」
ペロッと舌を出して手を合わせる恬に私はため息をついた。
そう、今は無邪気なあの時の私たちじゃないのだ。
お互い楽華隊の隊長だったり、外交官やたまには大軍の指揮をとったりするまでに成長した___
「先程から、その格好は何だ?哶熊A。お前まで女装に目覚めたのか?」
「は?」
突然の王賁の爆弾発言に私は口をあんぐりと開ける。恬は横でお腹を抱えて笑っている。
「まあ、王賁は鈍感だもんね。Aは元から女の子だよ?あまりの綺麗さに驚いた?」
恬の言葉に次は王賁があんぐりと口を開ける。
「わざわざ私も言っていなかったからな。黙っていてすまなかった」
私の言葉に王賁は何故か安心したように小さくため息をついた。
「なるほど。だから、あれほど方向音痴で運動神経が悪いのも理解出来る」
「いや、理解出来ないから」
1人で頷く王賁を横目に私は恬に蹴りを入れた。
さすがに王賁に蹴りを入れるわけにはいかない。
「なんで俺!?酷くない!?八つ当たりだぁ」
「そこにいたから蹴った。許せ」
「そこにいたから、って理由がチンピラなんだけど。ちょっと、A聞いてる?」
「恬うるさい」
横でギャーギャーとうるさい恬の声に私は耳を塞ぎながら王賁に向き直る。
「てっきり、蒙恬に仕える者かと.......」
「こいつに仕えるなど無理。私の主人は昌平君ただ一人だけだぞ」
肩をすくめる私に王賁は無表情のまま、声色だけは少し驚いたように言った。
「今、昌平君といったか?」
「そうだけど.......」
少し考え込む王賁に私は訳が分からずに首をかしげた。
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涼(プロフ) - llmzさん» コメントありがとうございます!!蒙恬かっこいいですよね!珠海平原での蒙恬は鼻血ものです笑オチはまだ考えてないけど、考えときます笑これからもよろしくお願いします! (2019年7月6日 7時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)
llmz(プロフ) - 更新ありがとうございます。毎日楽しく読まさせて貰っていて、とても続きが気になります!蒙恬推しの私からするとオチは蒙恬がいいなと思います。てへ。お忙しいとは思いますが陰ながら応援しています。コメント失礼致しました。 (2019年7月5日 21時) (レス) id: 13d9da937b (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - 仙花さん» いえいえ、私もこの機会に中国史について色々振り返れたので、楽しかったです!このような機会をありがとうございました!! (2019年6月17日 16時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)
仙花 - 羋というのは楚の王族に使われる姓だと聞いたことがあったので、熊啓が名前なんだと私は解釈してましたが、熊という名前にそんな意味があったんですね。分かりやすい説明ありがとうございます。 (2019年6月17日 15時) (レス) id: 8f9569ed44 (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - 仙花さん» コメントありがとうございます!昌平君の本名についてはまた本文で言及させて頂きたいとおもうので、そちらを見ていただけると嬉しいですm(_ _)m (2019年6月16日 22時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼 | 作成日時:2019年6月14日 20時