*31 (蒙恬side) ページ33
Aと別れた後、俺は一度 講義所へと戻ったが、やっぱりいたたまれなくなって、回縁へと続く扉の前に戻ってきてしまった。
先程、抱きしめたAのいい香りと意外と華奢な体の柔らかさが忘れられない。
久しぶりに彼女の弱音を聞いた。
彼女だって、やっぱり女の子だ。
いつもは男のように振舞っていて、男の俺から見てもかっこいいと思う時があるのに。
.......少し安心した。
殴られる覚悟で抱きしめに行ったけど、まさかあんな事になるなんて、たまにはいい事もしてみるもんだ。
気になって、少し扉を開け、その隙間を除き見する。
昔からAは先生しか見ていない。
「ひょっひょっひょっ、覗き見は良くないのぅ、蒙恬」
「げ、蔡沢様」
驚いて肩を揺らすと、後ろには蔡沢様がひょっこりといた。
「どうしてここに?」
「羋熊Aを迎えに来たのじゃ。まぁ、また あの娘が諸国を飛び回れるとは思わんがのぅ」
ひょっひょっひょっ、と笑う蔡沢様に僕は眉をひそめた。
「どういうことですか?」
「羋熊Aは明日、此度の戦の処罰を受けねばならん。王騎を死なせたのはそれほど大きいからのぅ。それは羋熊Aも百も承知じゃろう」
そんなの聞いてない。
外交の仕事は彼女にとって、生き甲斐にも近い。
それに、今回の敵はAの力でどうこうできる相手じゃなかった。
初めてAに会ったのは俺が6歳の時。
それまでは俺が独占していた先生も、Aが来てからはAに夢中になってしまった。
最初は本当にムカつくやつだったのに.......。
「しかし、今、昌平君がその処罰をなくそうと必死に足掻いているがのぅ」
「.......そうですか。それなら良かったです」
蔡沢様の言葉に俺はにこりと笑う。
「そんなんじゃから、お前は羋熊Aに振り向かれんのじゃろうな」
蔡沢様の爆弾発言に俺は驚いて、言葉も出ない。
ひょっひょっひょっ、と笑う蔡沢様の背中を俺はただ呆然としながら見送った。
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涼(プロフ) - llmzさん» コメントありがとうございます!!蒙恬かっこいいですよね!珠海平原での蒙恬は鼻血ものです笑オチはまだ考えてないけど、考えときます笑これからもよろしくお願いします! (2019年7月6日 7時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)
llmz(プロフ) - 更新ありがとうございます。毎日楽しく読まさせて貰っていて、とても続きが気になります!蒙恬推しの私からするとオチは蒙恬がいいなと思います。てへ。お忙しいとは思いますが陰ながら応援しています。コメント失礼致しました。 (2019年7月5日 21時) (レス) id: 13d9da937b (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - 仙花さん» いえいえ、私もこの機会に中国史について色々振り返れたので、楽しかったです!このような機会をありがとうございました!! (2019年6月17日 16時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)
仙花 - 羋というのは楚の王族に使われる姓だと聞いたことがあったので、熊啓が名前なんだと私は解釈してましたが、熊という名前にそんな意味があったんですね。分かりやすい説明ありがとうございます。 (2019年6月17日 15時) (レス) id: 8f9569ed44 (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - 仙花さん» コメントありがとうございます!昌平君の本名についてはまた本文で言及させて頂きたいとおもうので、そちらを見ていただけると嬉しいですm(_ _)m (2019年6月16日 22時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼 | 作成日時:2019年6月14日 20時