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全速前進で軍を進める王騎将軍は私が示した通りの、あの釣鐘状の地形へとなだれ込んだ。

そこには全滅しかけの蒙武軍たちが押し込められており、なんとか蒙武が全滅する前に到着できたようだった。

対峙する両軍はお互いに士気を上げ、ぶつかり合う。

「Aはここで動かずじっとしていなさい。何かあれば、逃げるのですよ」

深く頷く私に王騎将軍は、それだけ言うと前線へと向かって行ってしまった。

何かあった時のために、王騎将軍はおよそ100人ほどの騎馬を私に残しておいてくれた。


ただ、戦況を見つめるだけの私のもとに数十分後、知らせが舞い込んでくる。

「王騎様と龐煖が一騎打ちを始めました」

ついに始まってしまった。

これが、最善の場、だとは言い難いがこちらが地理的に優位に立っているのには違いない。

「戦況は?」

「まだなんとも言えませんが、今のところはこちらが優勢です」

私は 遣いの者に、ありがとう、とだけ伝える。

しかし、何かが変だ。展開がはやすぎる。


その時、後ろから、微かな音がし、私は後ろを慌てて振り返る。

その音は次第に大きくなり、こちらに近づいているようだった。

目を凝らすと、おおきな軍 一体がこちらに向かって走ってくる。

一瞬、味方かと期待したが、その期待は絶望へと変わる。

「趙の援軍だ。至急、王騎将軍に伝えろ!」

叫ぶ私に、遣いの者達は一斉に前線の王騎将軍の元へと駆けていく。

しかし、彼らは援軍の存在で士気の上がった趙兵にことごとく やられて行った。

速く王騎将軍に伝えなければ。

そう思うと、知らぬ間に 私は弓を構え、王騎将軍とのいる元へ駆け出していた。

王騎将軍には逃げろ、と言われたが、自分だけ逃げる訳にはいかない。

「すまん、ついてきてくれ」

後ろに続く味方の兵士に声をかける。
頭の中が真っ白になって、何も考えられなかった。

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(プロフ) - llmzさん» コメントありがとうございます!!蒙恬かっこいいですよね!珠海平原での蒙恬は鼻血ものです笑オチはまだ考えてないけど、考えときます笑これからもよろしくお願いします! (2019年7月6日 7時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)
llmz(プロフ) - 更新ありがとうございます。毎日楽しく読まさせて貰っていて、とても続きが気になります!蒙恬推しの私からするとオチは蒙恬がいいなと思います。てへ。お忙しいとは思いますが陰ながら応援しています。コメント失礼致しました。 (2019年7月5日 21時) (レス) id: 13d9da937b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 仙花さん» いえいえ、私もこの機会に中国史について色々振り返れたので、楽しかったです!このような機会をありがとうございました!! (2019年6月17日 16時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)
仙花 - 羋というのは楚の王族に使われる姓だと聞いたことがあったので、熊啓が名前なんだと私は解釈してましたが、熊という名前にそんな意味があったんですね。分かりやすい説明ありがとうございます。 (2019年6月17日 15時) (レス) id: 8f9569ed44 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 仙花さん» コメントありがとうございます!昌平君の本名についてはまた本文で言及させて頂きたいとおもうので、そちらを見ていただけると嬉しいですm(_ _)m (2019年6月16日 22時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年6月14日 20時

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