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「桃加隊全滅!!涉猛がまっすぐとこちらに来ます」

報告と共に、王騎将軍はさらに軍を前へと進める。そして、王騎将軍と涉猛、両者は対峙すると、すぐさま加速し、矛を振り下ろした。

プシュー、と辺に飛沫を飛ばしながら広がる血は涉猛のものだった。

さすがだ。六将軍の名を名乗る程だから、その強さは伊達ではない。

さらに軍を進める私達は昨日の襲撃で半分以下になってしまった飛信隊と合流し、森の中へと進軍する。

しかし、その速さは先程の勢いはなく、ゆっくりだった。

「また会ったな、マスク男!」

「羋熊Aだ。お前は物覚えが悪いな」

私は信が歩く速さにあわせ、馬を歩かせる。

信の姿はボロボロで見るからに痛々しい。

「昨日は不運だったな」

「ああ。だから、俺は俺を守るために死んでいったやつの為にもこの戦いに勝たなくちゃいけねぇ」

私は信の目を見て力強くうなずく。

「軍師殿。殿がお呼びです」

王騎将軍のいる再前列から呼びに来てくれた遣いの者に私は頷くとその場を離脱しようとした。

「てか、お前、王騎軍の軍師だったんだな」

後ろから今更のように叫ぶ信に私はため息をつく。

「いや、臨時だけどな」



王騎将軍の横に馬を並べると、王騎将軍はどこか遠くを見ていた。

王騎将軍が見ている場所へ視線をやるといくつかの旗が立っている。

「あの旗が見えますか?A」

「はい。こちら側の軍が今どこにいるのかを知らせているのですよね?」

私の答えに満足そうに頷く王騎将軍は言葉を続ける。

「あの旗によると、蒙武たちの動静だけがわかりません。急ぎますよ」

馬を急がせ始める王騎将軍に王騎軍一体がペースを上げる。



しかし、森を抜け、趙軍の本陣が広がっているはずの場所はもぬけの殻だった。

「貴女の読み通りでしたね」

余裕そうな笑みを浮かべる王騎将軍を見て、私は少し寒気がした。

なんだか嫌な予感がする。

「このまま、全軍を進めますが、異論はないですね?」

私は王騎将軍に小さく頷くしかなかった。

本当なら、ここで趙軍を追って、こちらの軍を進めるのは得策ではない。

だけど、今の王騎将軍に反論できる者は誰一人いなかったのだ。


しかし、私がここで反論しなかったことは、後に最大の悲劇を呼ぶことになる。

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(プロフ) - llmzさん» コメントありがとうございます!!蒙恬かっこいいですよね!珠海平原での蒙恬は鼻血ものです笑オチはまだ考えてないけど、考えときます笑これからもよろしくお願いします! (2019年7月6日 7時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)
llmz(プロフ) - 更新ありがとうございます。毎日楽しく読まさせて貰っていて、とても続きが気になります!蒙恬推しの私からするとオチは蒙恬がいいなと思います。てへ。お忙しいとは思いますが陰ながら応援しています。コメント失礼致しました。 (2019年7月5日 21時) (レス) id: 13d9da937b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 仙花さん» いえいえ、私もこの機会に中国史について色々振り返れたので、楽しかったです!このような機会をありがとうございました!! (2019年6月17日 16時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)
仙花 - 羋というのは楚の王族に使われる姓だと聞いたことがあったので、熊啓が名前なんだと私は解釈してましたが、熊という名前にそんな意味があったんですね。分かりやすい説明ありがとうございます。 (2019年6月17日 15時) (レス) id: 8f9569ed44 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 仙花さん» コメントありがとうございます!昌平君の本名についてはまた本文で言及させて頂きたいとおもうので、そちらを見ていただけると嬉しいですm(_ _)m (2019年6月16日 22時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年6月14日 20時

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