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「久しぶりだな、A」
「大王こそ」
先程の呂氏一行と大王側の対面が終わり、私は目の前に座る現秦王・嬴政様に会釈をする。
私は久しぶりに極東の燕から秦へと帰ってきたばかりだった。
今回 帰国した理由は、暫く魏に赴いていた呂氏一行が秦に帰国するということで、蔡沢様と共に私も連れ戻されたのだ。
そもそも、王弟の成蟜が反乱を起こした時点で帰国しなければならなかったのだが、呂不韋はあえて帰国しなかった。
*
私と嬴政様はかれこれ5年くらいの付き合いで、度々王宮に呼ばれては政様のしゃべり相手をしている。
そして、その場は決まって見晴らしのいい高い場所だ。
「しかし、先程はしてやられましたね、大王。お疲れ様でした」
「お前までそれを言うのか」
辞めてくれよ、と言わんばかりに政様は苦笑する。
先程の対面で、昨夜起こったらしい大王様暗殺計画について、呂不韋への処罰は不問となったのだ。
「そもそも、お前は呂氏側の人間だろ?」
皮肉そうに笑う政様に私は首を振った。
「私の主人はあくまで先生なので」
「ああ、そうだったな」
私の殿であり先生である、昌平君は呂氏四柱の一人だが私には関係なかった。
私が先生に拾われた5歳の時から、私の主人は先生だけなのだ。
「それにしても、今の政様は心做しか、楽しそうですね。王弟の反乱があって以来でしょうか?」
「鋭いな」
政様はそれだけ呟くと目を閉じ空を見上げる。その様子に私は首を傾げた。
「ここ数年で色々なことがあった。そして、目標への道のりも明確化しつつある。それに、信頼出来る仲間も増えた」
「確か、信.......とかいう少年でしたっけ?」
「ああ、」
政様は軽くふわりと笑った。政様が笑うなど、今までではほとんどない事だったのに。
私は内心驚きながら、そうですか、と呟いた。
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涼(プロフ) - llmzさん» コメントありがとうございます!!蒙恬かっこいいですよね!珠海平原での蒙恬は鼻血ものです笑オチはまだ考えてないけど、考えときます笑これからもよろしくお願いします! (2019年7月6日 7時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)
llmz(プロフ) - 更新ありがとうございます。毎日楽しく読まさせて貰っていて、とても続きが気になります!蒙恬推しの私からするとオチは蒙恬がいいなと思います。てへ。お忙しいとは思いますが陰ながら応援しています。コメント失礼致しました。 (2019年7月5日 21時) (レス) id: 13d9da937b (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - 仙花さん» いえいえ、私もこの機会に中国史について色々振り返れたので、楽しかったです!このような機会をありがとうございました!! (2019年6月17日 16時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)
仙花 - 羋というのは楚の王族に使われる姓だと聞いたことがあったので、熊啓が名前なんだと私は解釈してましたが、熊という名前にそんな意味があったんですね。分かりやすい説明ありがとうございます。 (2019年6月17日 15時) (レス) id: 8f9569ed44 (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - 仙花さん» コメントありがとうございます!昌平君の本名についてはまた本文で言及させて頂きたいとおもうので、そちらを見ていただけると嬉しいですm(_ _)m (2019年6月16日 22時) (レス) id: 09e4b51586 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼 | 作成日時:2019年6月14日 20時