言葉にし難い感情 ページ4
自覚がねーわけじゃなかった。
最初と比べて、俺のAに対する扱いが甘くなりつつある。
この2ヶ月ずっと傍らに置いてたから、気が付かねーうちに愛着でも湧いちまったんだろう。
…それを不快と思ってねー俺自身が、一番理解できねーけど。
「てめーがあいつに対してどういう感情を抱いてんのかは知らねーがな…大事にするならちゃんと見ててやれよ」
「…とても、あいつに入れ込み過ぎるなっつった奴の台詞たァ思えませんねィ」
「あいつはもう、立派に俺達の仲間だからな」
「……」
仲間。
Aに対し、土方の口からそんな言葉が出たことに何とも言えねー感情が沸き上がってきた。
Aが受け入れられてることに対する安堵、それを土方の口から聞かされる不快感。
さまざまな感情が滅茶苦茶に入り混じって、もうわけがわからねェ。
俺ァいったいAのことをどう思ってんだ。
下僕?
幾ら考えたところで、学のねー空っぽの頭じゃ答えが出せるわけもなく。
「…ちょいと、外の空気吸って来やす」
「おぅ。Aを見つけたら買い物頼んどいてくれよ」
「別にあいつを探しに行くわけじゃありやせんぜ」
「わかってるわかってる。早く行って来い」
…絶対わかってねーなクソが。
今晩の飯は覚悟してやがれ。
土方が俺の部屋を出ていくと、俺も廊下に出て奴とは反対側の方向に向かって歩を進めた。
Aが俺の仕事を代わりに片付けてくれてっから、特にやることもねェ。
散歩にでも行って来るか。
そんなことを考えていた時だった。
ガツン、と何か硬ェモンを殴ったみてーな音が聞こえてきたのは。
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作者名：影咲 遥 | 作成日時：2019年12月2日 12時
