気の迷い ページ29
屯所から来た応援に犯人共を引き渡して、また市中見回りに戻る。
見回りに出れば地域差こそあれ、平均して日に4、5件は小さな事件があったりすんのが普通だが、今日はまださっきの銀行強盗1件だけだ。
平和なのは良いこった、めんどくさくねーし。
「…お?」
「どうかしましたか、ご主人様」
見回りのルートを歩いてたら、いかにも女が好きそうな小物が並んだ店が目についた。
置物や髪飾り、化粧品。
櫛や小物入れなんかも取り扱ってる。
何故こんな店に目が行ったかは自分でもわからねーが、この店を見て何となく。
ホントに何となく"Aに何か買ってやるか…"なんて気が起こった。
我ながらとんでもねー気の迷いだと思う。
ま、だからといってそれを撤回する気もねーけど。
あれだ、使える下僕にたまには褒美でもくれてやろうとかそんな感覚。
「…てめー、何か欲しいモンとかねーのかィ」
「欲しい物、ですか?燃料は充足していますし、これといって必要な物は…」
「そーじゃなくて」
ったく、どんなに人間っぽい性格作ってもやっぱからくりはからくりか。
ま、からくりに物欲あるっつーのも変な話ではあるが。
「ご主人様の役に立つ優秀な下僕にたまにゃ褒美の一つもくれてやろーかと思ってねィ。おあつらえ向きな店もあるし、適当なモン選んどけ。命令でィ」
「…承知しました」
命令と言われりゃ従うのがAだ。
何度か目を瞬かせ戸惑った様子を見せてはいたが、すぐに店の品々に目を向け選び始めた。
さて、こいつはいったい何を選ぶんだろうねィ。
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影咲 遥(プロフ) - mihotanakahijikさん» 応援コメントありがとうございます!何気に今作初コメントでテンションが上がっ…ゲフンゲフン。仕事が忙しい関係で更新が滞ることもありますが、少なくとも2日に1回は更新できるようにしたいと思っております。出来る限り頑張りますので長い目で見守ってやって下さい! (2019年9月27日 22時) (レス) id: d73cf733f9 (このIDを非表示/違反報告)
mihotanakahijik(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです…これからも頑張ってください! (2019年9月26日 7時) (レス) id: 3371577f77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2019年9月1日 20時