動力源 ページ17
散歩ついでに俺がサボる時よく来る団子屋に来てみた。
個々の嗜好による違いはあるが、いつの時代も女は甘味に目がねェ。
ならこーいう場所に来りゃAの人格形成に必要なサンプルが多く集まんだろうと踏んだ。
その判断は間違ってなかったらしく、適当な団子を注文して食ってる間、年頃の女が店に続々とやってきては帰って行く。
Aの目がずっと金色になってたから、そいつらの何気ない会話や動作は全部サンプルとしてこいつの中に保存されてんだろう。
これならそこそこ女らしい人格も出来上がるかもしれねェ。
機械人形みてーなこいつがどう変化すんのか。
少しばかり、それが楽しみになった。
「お待たせしましたー、ごゆっくりどうぞ」
店員が団子の乗った皿を運んできたのを見てふと思った。
ノリで注文しちまったが…こいつ、物食えんのか?
「そーいや、てめー物食ったりできんの?」
「肯定。当機の動力源は月光、太陽光であるため食事を必要としませんが、口から食物を体内へ取り込むことは可能です」
「それは食ってるって定義されんのか…」
運ばれてきた団子を1本差し出せば、Aは軽く頭を下げてそれを手に取った。
暫く団子を眺めた後口に運んでたが、見た目だけならやっぱ人間のそれと何ら変わらねェ。
多分この店に居る誰も、Aがからくりだとは思わねーだろう。
「ちなみに味覚は?」
「解。当機に味覚は備わっていませんが、成分を分析することで味を判別することは可能です。取り込んだ食物のデータを蓄積すれば、疑似的な味覚を形成することもできます」
「んな改造までできんのか」
いったい何処まで自己改造できるんだこいつ。
此処まで来ると、こいつの改造能力に限界はねェんじゃねーかと思えてくる。
このまま改造させてけば、いつか本物の人間みてーになったりして。
…ま、流石にそりゃねーか。
どんだけ人間の真似事しようが、からくりは所詮からくりなのだから。
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影咲 遥(プロフ) - mihotanakahijikさん» 応援コメントありがとうございます!何気に今作初コメントでテンションが上がっ…ゲフンゲフン。仕事が忙しい関係で更新が滞ることもありますが、少なくとも2日に1回は更新できるようにしたいと思っております。出来る限り頑張りますので長い目で見守ってやって下さい! (2019年9月27日 22時) (レス) id: d73cf733f9 (このIDを非表示/違反報告)
mihotanakahijik(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです…これからも頑張ってください! (2019年9月26日 7時) (レス) id: 3371577f77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2019年9月1日 20時