鳥が飛んだ日 ページ7
「ハァ、ハァ…くそッ!土方さんあと何分ですかィ!?」
「あと5分だよ黙って手ェ動かせ!!」
「も、もう無理です副長ォオオ!!」
「まだ上もあんのに5分で行くなんて無茶ですよ!!」
「今弱音吐いた奴後で切腹だ!!侍なら最期まで諦めねーで剣振るえ!!」
刀振り回しながら隊士に喝入れる土方。
だが土方だってわかってる筈だ。
今俺らが居るのは9階。
砲台が置かれてる12階まで、あと5分じゃとても辿り着けねェ。
こりゃ本気で、Aと駆け落ちでも考えなきゃならねーか。
「そーちゃん」
「ッ…何でィ」
淡々と敵を斬り続けてたAが、ボソリと俺の名を呼んだ。
その表情は険しく、体力の限界が来てることを如実に語ってる。
普段ならまず負うことのねェ傷もあちこちに見えた。
それでも鎌を振るい続けてんだから、やっぱてめーは強ェよA。
「江戸城ぶち抜かれたら、真選組潰されるよね」
「…そうだろうねィ。俺ら全員、責任取らされて打ち首やら切腹やら命じられんのがオチじゃねーか?」
「…そしたら当然、そーちゃんやイサ兄も困るよね」
「ま、殺されんだからそりゃ困るわな」
「…そ」
短く呟かれたその言葉。
それと同時に、己の両手の鎌を強く握りしめたAが攘夷浪士どもの隙間を縫うように駆け出した。
「Aッ!?」
いきなり駆け出したAの行動に思わず叫ぶが、俺の叫びにも振り向くことなくAはそのまま窓ガラス目掛けて突っ込んだ。
バリン、と派手な音とともにガラスが割れて、Aの体が宙に踊る。
あちこちから飛び交う、隊士達の悲鳴。
攘夷浪士どももAの予想外の行動に驚き固まってる。
当然だ、此処は高層ビルの9階。
こんな高さから人間が落ちようモンなら、まず助からねェ。
けど俺が懸念したのは全く別のことで。
あいつ、まさか…!!
Aが飛び出した窓際まで走って、身を乗り出すように上を見る。
ヒラヒラと落ちてきたそれは、俺の懸念が現実になっちまったことを証明するモノ。
自らの身を護るため、今までずっと隠し通してきたAの秘密。
上着を脱ぎ棄て、純白の翼を晒して飛んでいくAの姿が、そこにあった。
烏合の衆は100人居ようが烏合の衆→←見ろ、人がゴミの(以下省略)
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影咲 遥(プロフ) - めいさん» 無理せず頑張った結果1日空いてしまいました(寝落ち)仕事でなかなか更新できない時もありますが、必ず完結しますのでこれからも読んでやってくださいませ! (2019年5月24日 0時) (レス) id: d73cf733f9 (このIDを非表示/違反報告)
めい - めっちゃハラハラします!!無理せず更新頑張ってください!! (2019年5月21日 20時) (レス) id: 74d4a343bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2019年4月25日 20時