【銀魂】俺の隣のゆる医者さん【沖田総悟】

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「…時間。そろそろ、行く?」

「おぅ。てめェが一緒に来んなら、別にこっちに拘(こだわ)る理由なんざねーからな」


あの穴から向こうに行った時、落ちた場所に危険がねーとも限らねェ。
何かあった時すぐに対応できるように、Aが用意してくれた竹刀袋から刀を取り出して腰に取り付けた。
割と久しぶりな感じだが、やっぱこいつァ此処にあんのが一番しっくりくる。


「迷子になったら探すの骨が折れるんでねィ。しっかり掴んどけ、離すんじゃねーぜ」

「うん。知らない、土地。迷子、困る」


自然な動作でAの右手を握って、指を絡ませる。
Aは空いた左手にキャリーバッグを握って、俺の隣に並んだ。


「あ。向こうでの、生活。面倒、よろしく」

「……こっちで散々借り作っちまったんだ、それ全部返し終わるまでは面倒見てやらァ」


返し終わっても、手放すつもりはねーけど。
心ん中でそう付け加えて、Aの手を引きながら例の黒い穴の方に向かって足を進める。
相変わらずオカルティックな匂いしかしねェ大穴を前に、俺らは立ち止まった。


「そーいえば、これ。ホントに、総悟君の、世界に…通じてる、かな?」

「このタイミングで不安になるよーなこと言うんじゃねーや」

「でも、何処に、行っても。総悟くん、一緒だし。多分、平気」

「…それ無自覚で言ってんだから、トコトン性質(タチ)悪ィなてめェ」

「……?」


相変わらずAは何処までも鈍い。
この言葉もきっと特別な感情とかは全く無く、素で言ってんだろう。


まぁ、今はそれで良い。
一緒に向こうの世界(江戸)に行くんだ、落とす時間は幾らでもある。
いつか必ず俺に惚れさせてやっから、覚悟しやがれA。


「んじゃ、行くか」

「おっけー」


二人同時に床を蹴り、穴ん中に飛び込む。
ぐにゃりとした気持ち悪ィ感覚が体に纏わりつき、ほぼ無意識でAの体を護るように抱き寄せた。


何処までも続くような深い穴。
俺らの体はその中をゆっくりと落ちていった。

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