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「総悟くんの、世界。星、綺麗?」
「あ?何でィいきなり。…まじまじ見上げた記憶なんざ殆どねーけど」
今にも崩れそうな2階の床部分にちょこんと腰かけながら、Aが口を開く。
聞かれて何となく空を見上げてみたら、雲一つねェ夜の空の筈なのに星の光はぼんやりと霞んでるように見えた。
「少なくとも…此処よか綺麗なんじゃねーの?何か霞んでるし」
「そっか。…こっちの、世界。便利だけど、空気、汚れてる。星、綺麗に、見えない。同じ、だけど、違う空」
ふと、昼間考えたことを思い出す。
Aとは違う理由だが、俺もこの世界の空を見て同じ空なのに違うモンなんだと感じた。
Aも同じことを思ってたんだと嬉しくなると同時に悲しくなる。
俺らはもう、こうして同じ空を見上げることすら許されなくなっちまうのだから。
いけねェ、こんなんじゃ余計に帰りたくなくなっちまう。
要らねェ考えを振り払うように頭を振ってたら、ピシリと嫌な音が聞こえた。
「「あ」」
Aの体がゆっくりと傾いていくのが目に映る。
いや、まぁ確かに今にも崩れそうだなーとか思いはしたが…マジで崩れるなんて想定するわけねーだろ。
「ちょ、馬鹿!!」
慌ててAの細腕を引っ掴んで、思いっきり自分の方に引き寄せる。
男と女とはいえ、人一人引っ張り上げるのには相当な力が要るわけで。
勢い余って俺は背中からひっくり返り、その上にAが乗っかる形になった。
「ぐえッ…」
「あ、ゴメン」
幾らAが軽いっつったって、重力がかかって腹に乗られたら流石に辛いモンがある。
小せェ呻きが漏れて、Aはゆるい口調のまま謝罪を口にした。
「ったく…押し倒されんなァ趣味じゃねーんでィ。ちったァ足元気ィ付けやがれ、危なっかしいったらねーや」
「面目ない」
のそりと俺の上から降りようとしたAの腰に片腕回して、自分の体を起こしながら再び俺の方に抱き寄せる。
夜とはいえまだまだ暑ィ時期だが、服越しに伝わってくるこいつの体温は心地いい。
「総悟くん?」
「もう時間ねーんだから、大人しく抱かれてやがれ」
「…りょーかい」
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影咲 遥(プロフ) - 乙愛さん» まさかの宴開かれちゃった!?喜んで頂けたようで嬉しいです!そう簡単にはくっつかせませんよー、焦らし大好きでございます!これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします! (2018年9月21日 15時) (レス) id: dd3bdf5d99 (このIDを非表示/違反報告)
影咲 遥(プロフ) - フォレットさん» 終わらなくて良かったと言ってくださる方が滅茶苦茶多くてビックリしている次第ですw今日中には出せるように頑張りますので、どうかまた見てやってください!いつもコメントありがとうございます! (2018年9月21日 15時) (レス) id: dd3bdf5d99 (このIDを非表示/違反報告)
影咲 遥(プロフ) - 茲音さん» そういえば学生さんってテスト間近な頃ですね;少しでも茲音様の癒しになれるよう頑張って参りますね。テストファイトです!そして100票祝いありがとうございます、おかげ様で無事初の殿堂入りを果たすことができました!これからも応援よろしくです! (2018年9月21日 15時) (レス) id: dd3bdf5d99 (このIDを非表示/違反報告)
影咲 遥(プロフ) - 八木楓さん» 終わる終わる詐欺の反響が怖かったのですが、楽しみにして頂けるとは嬉しい限りです。これからも頑張りますので、応援してくだされば幸いです。コメントを頂きありがとうございました! (2018年9月21日 15時) (レス) id: dd3bdf5d99 (このIDを非表示/違反報告)
影咲 遥(プロフ) - 雨さん» いつもコメントをくださりありがとうございます。今日中には出せるように頑張りますので、これからも応援よろしくお願いします! (2018年9月21日 15時) (レス) id: dd3bdf5d99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2018年7月30日 13時