* ページ17
Aに貰った真新しい隊服に袖を通し、荷物を突っ込んだ鞄と竹刀袋に突っ込んだ刀を肩にかけて俺は家の外へと足を踏み出した。
カチャリ、と鍵をかける音が静かなマンションの廊下に響く。
今の時刻は午後10時、こんな時間にほいほい外に出んのは夜中に仕事がある奴か、Aみてーな裏世界の住人くれェだろう。
「忘れ物、ない?」
「…おぅ」
遂にこの時が来ちまった。
もう2時間もすりゃ、俺はこの世界から消える。
Aとも、二度と逢えなくなる。
Aと一緒にこの家に帰って来るこたァ、もうねェ。
互いに無言のままエレベーターで1階まで降り、Aの車ん中に乗り込む。
今回も俺が運転席、Aが助手席だ。
…こうして一緒の車に乗って出かけんのも、これで最後。
あぁ、やっぱり帰りたくねェ。
「道、大丈夫?」
「あー…多分。間違ってたら言え」
「おーけー」
エンジンをかけ、車を例のあの場所に向けて走らせる。
もしあの場所にあの黒い穴が無ければ、俺は向こうに帰らなくて済むんだろうか。
…いや、きっとあの穴は今でもあそこにあるんだろう。
そして俺がそこに飛び込む時を、今か今かと待っている。
もうすぐ帰る時だってのに、どこまでも未練がましい俺自身に苦笑が漏れた。
「どう、したの?」
「…いや、帰りたくねーなァって今更思ってる自分が笑えただけでィ」
「…そっか」
らしくねェ本音を吐露したってのに、Aはいつもの調子を変えねェ。
最後の最後まで、こいつはこいつらしい。
そのことにまた、俺は笑った。
275人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
影咲 遥(プロフ) - 乙愛さん» まさかの宴開かれちゃった!?喜んで頂けたようで嬉しいです!そう簡単にはくっつかせませんよー、焦らし大好きでございます!これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします! (2018年9月21日 15時) (レス) id: dd3bdf5d99 (このIDを非表示/違反報告)
影咲 遥(プロフ) - フォレットさん» 終わらなくて良かったと言ってくださる方が滅茶苦茶多くてビックリしている次第ですw今日中には出せるように頑張りますので、どうかまた見てやってください!いつもコメントありがとうございます! (2018年9月21日 15時) (レス) id: dd3bdf5d99 (このIDを非表示/違反報告)
影咲 遥(プロフ) - 茲音さん» そういえば学生さんってテスト間近な頃ですね;少しでも茲音様の癒しになれるよう頑張って参りますね。テストファイトです!そして100票祝いありがとうございます、おかげ様で無事初の殿堂入りを果たすことができました!これからも応援よろしくです! (2018年9月21日 15時) (レス) id: dd3bdf5d99 (このIDを非表示/違反報告)
影咲 遥(プロフ) - 八木楓さん» 終わる終わる詐欺の反響が怖かったのですが、楽しみにして頂けるとは嬉しい限りです。これからも頑張りますので、応援してくだされば幸いです。コメントを頂きありがとうございました! (2018年9月21日 15時) (レス) id: dd3bdf5d99 (このIDを非表示/違反報告)
影咲 遥(プロフ) - 雨さん» いつもコメントをくださりありがとうございます。今日中には出せるように頑張りますので、これからも応援よろしくお願いします! (2018年9月21日 15時) (レス) id: dd3bdf5d99 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:影咲 遥 | 作成日時:2018年7月30日 13時