8章 ページ10
さて、あの日のことを思い出している間に随分時間が経ってしまったが…真選組の朝は早い。
始業は8時半、それまでに皆が身支度や朝食を済ませ大広間に集合する。
そこで朝の打ち合わせが行われるのだが…我がマスター、沖田総悟。
この男の朝は…非常に遅い。
どのくらい遅いかというと…
「総悟ォオオオオ!!てめー毎朝毎朝寝坊してんじゃねェ!!」
こんな風に、副長である土方さんが部屋に怒鳴り込んで来るくらいに。
ドタドタと大きな音を立てて走ってくるのも、いきなりガラリと襖を開け放たれるのも普段と何ら変わらぬ光景である。
正直喧しいので、もう少し音を控えてもらいたいものだ。
「ふぁあ……何でィ土方さん、朝っぱらから大声で…こうも煩くされちゃおちおち寝てられやせんぜ…」
愛用の赤いアイマスクをずり上げながら、マスターは私の体から頭を起こす。
いや、もう寝ているような時間では無いぞ。
「アホか!もうとっくに始業時間過ぎてんだよ、寝てて良い時間じゃねーんだとっとと起きやがれ!!」
土方さんも思っていたことは同じらしい。
私が言いたかったことを、全て口にしてくれた。
「Aも、さっさと元の姿戻っとけ。そーすりゃ
「戻んじゃねーぜ犬っころ。勝手に戻ったら首輪付けて市中引き回しの刑な」
…いったいどうしろというのだ、これは。
心の中でこっそり溜め息をつき、土方さんに向けてテレパシーを飛ばす。
一度に一人までしか飛ばせぬことが、今はありがたい。
『すまぬ、土方さん。これでも一応、物凄く不本意ながら奴は私のマスター故…マスターの命には逆らえぬ、勘弁して頂きたい』
「おい、今失礼なこと飛ばしやがったろ」
『はて、何のことだか』
相変わらず、妙なところで鋭いマスターだ。
「ハァ……ったく、とにかくさっさと起きて来い」
すっかり怒る気力も尽きたのか、土方さんは紫煙を吐き出しながらマスターの部屋を去っていった。
…起きる気の無いだろうマスターは再び私の毛皮に顔を埋めているのだが、いいのかこれは。
『……マスター、つかぬことを聞くが…起きる気はあるのか?』
「あぁ?んなモンあるわけねーだろィ」
『……だろうな』
土方さんすまぬ。
我がマスターが起きていくのは、まだ当分先になりそうだ。
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影咲 遥(プロフ) - 夜空 星月さん» 星月様、初めまして!コメントを頂きありがとうございます。多分シャボン玉よりもグダる可能性大ですが、頑張って更新していきますね!応援ありがとうございました。 (2018年1月27日 22時) (レス) id: 6088c20e27 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 星月(プロフ) - 【シャボン玉に乗せた恋心】のときからファンです!こちらの作品も応援してます!頑張ってください!! (2018年1月27日 22時) (レス) id: 5d15086cca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2018年1月27日 21時