愛は罪深い.2

sin.63 ページ21

暮人から回って来た書類を完成させる。
その為に集中して取り組んで居るのだけども量が多い。
同じ作業の繰り返しに集中力も切れそうになった時だった。



「わっ！」
『何をしてるの深夜....』
「あはは、もっと可愛い反応してよ〜」



後ろから気配を消して驚かせて来たのは深夜だった。
彼は悪戯好きな面もあってその被害はグレンが大半だろうけど....。


「Aとグレンの子、謹慎になったんだって？」
『その言い方辞めてくれる？』


私の部屋にある紅茶を手馴れた様子で淹れながら聞く深夜。
何故かお気に入りのカップも把握済み。



『第二渋谷高校で友達を作る条件付きでね』
「凄い気にかけてるね、Aが暮人兄さん以外に興味を持つなんて」
『あは、子供相手に嫉妬？』


”嫉妬”という単語を口にすると一瞬困ったような顔をした深夜にAは首を傾げた。
この手の冗談だといつも乗ってくる深夜。


どうかしたのかと、声をかけようとした瞬間。



＿＿＿吸血鬼が研究所から脱走しました。
＿＿＿第二渋谷高校....＿＿＿



アナウンスはどうやら脱走した吸血鬼が第二渋谷高校へ侵入したという情報。

深夜が淹れた紅茶を飲む暇もなく学校へと急いだ。
そんなAの後ろ姿を眺めながら深夜は置いてきぼりの紅茶を口に含んだ。


｢僕の気も知らないで、そういう事言うんだから｣


深夜はそう言って微笑むとAの部屋を後にした。

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