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『実は私一度死んでるって言ったら信じますか?』
五条「信じないかなぁ。Aが特級呪物の器で…って話なら可能性はあるけど、器じゃないっしょ?何も感じないし」
やっぱり彼の存在は先生でも分からないのか。
『じゃあ私が本当は今年で二十九だって言ったらどうします?』
五条「それが本当なら驚くね。見た目高校生なのに僕と同い年なんだもん」
『先生、信じてないでしょ』
信じたら信じたで正気かってなるけども。
というか先生呼びをするのにもすっかり慣れてしまったなと水を飲みながら思う。
『…ではもう一つ聞いてください』
先生は不思議そうにしながらも頷く。
『私十年前に死んで、気付いたら当時の姿のまま現在にいたんですよ』
なーんて。
私にとっては事実でも彼にとっては法螺話。
私自身も最初は信じられなかった。
私の中にいる彼と話をして、意識が途切れたと思ったら自分が死んでから十年後の世界に十九歳の姿のまま存在することになったんだから。
五条「何?そういう設定の話でも書く予定なの?いいんじゃない?僕そういうタイムスリップ系の話好きだよ」
『よく言いますよ。タイムスリップ×恋愛ものの漫画勧めたら“こんなん読んでんの?趣味悪”っつって一蹴した癖に。あと私は物書きじゃないです』
五条「え?そんなことあったっけ…?っていうか僕そんなに口悪かった?」
『…っていう私の妄想です』
五条「Aってやっぱり不思議というか変わってるよね」
うっかりしてた。気を抜くとついつい昔のことを話してしまう。
『先に言っときますけど、私が何者なのか知る日は一生来ないと思いますよ。知る日が来るとすればそれは私が消える日です』
それが私と彼の契約。
五条「そう言われると何としてでも知りたくなっちゃうのが人間の性だよ」
『私も知って欲しいですよ』
貴方には特に。
私がどうして死にたくなかったのか。
なんでもう一度呪術師になることを選んだのか。
全ては五条悟という人間に起因する。
五条「じゃあ話してよ。Aのこと」
『だから言葉にしても意味がないんですって。私の言葉には中身がない。証明できるものが何もないんだもん』
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緋雪(プロフ) - 大好き過ぎて定期的に見てます泣泣泣 (2023年3月30日 3時) (レス) @page32 id: 44bf006712 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - 刹葉さんの作品大好きです!!以前のぶりっ子のお話もとっても好きでしたが、今回のお話の五条先生もとっても好きでした!! (2022年2月10日 18時) (レス) @page32 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
jyjy - ガチ泣きしました…… すっかり作者様のファンです! (2022年1月29日 19時) (レス) @page32 id: 2ce4079fbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - めちゃくちゃ泣きました…。感動しすぎて。作者様は本当に神ですね。どの作品も本当に面白いです!これからも頑張ってください! (2021年7月21日 3時) (レス) id: d69ff754f7 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 泣いてしまいました…! 続編が欲しいと思うのは私だけではないはず! (2021年3月21日 18時) (レス) id: 2fea210edb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2021年2月23日 13時