三十七 ページ38
『夏油君』
夏油「なんだい、A」
『少しの間、共有スペースに行っててくんない？何かあったら大声で呼ぶから』
夏油君は心配そうにしていて、何か言いたげだったが、私が珍しく真面目な表情をしていることもあって、静かに五条君の部屋から出て行った。
『愛してた人に首絞められちゃった』
と静かに五条君の問いに答えれば、彼は驚いた表情をして。
五条「誰だよ。それ」
『さぁ？』
といつか彼にされたように大仰な仕草をしてはぐらかす。五条君の様子がおかしくなったのは夢の話…つまりは過去の話をした時だ。
もしそれがトリガーになっているのならば。
『五条君の夢の話、途中で聞けなくなってたじゃん？あれ、教えて欲しいな』
五条「………」
五条君は黙る。
自分が今から危険なことをしようとしているのは分かっている。でも自分から踏み込まなければあの人はずっと勘違いしたまま苦しむ気がしたから。
悟さんは基本的に受動的だったから、私が言わないと。
『もう一度出会わなければ良かった…とでも言えば出てくるかな、流石に』
五条「は？何言って…」
『貴方になんて出会わなければ___』
そこで口を塞がれた。
五条「折角命拾いしたのに馬鹿なの？」
五条君の纏う雰囲気がガラリと変わる。
『お久しぶりです、悟さん』
あの頃と同じように挨拶をすれば、悟さんは目を見開いた。どうして、と言いたげに。
『少し、話しませんか』
五条「君と話すことなんてない。裏切った人間のことなんて___」
『彼女は…昔の私は貴方を愛していました』
五条「……え…？」
不思議なことに今もその時の感情は私の中にある。過去を思い出したからだろうかと疑問には思うが、解析している暇はない。
五条「嘘つくなよ。だったらなんで僕を一人にしたの？置いて行ったの？他人のものになったんだよ！？」
彼の言葉は悲痛で、私まで苦しくなってしまう。
『薫子さんに聞いたんです。貴方と薫子さんは婚約しているって』
五条「っ！！」
『私は悟さんが結婚しないのは私が未熟だからだと思いました。だから私が幸せになったことを悟さんが知れば薫子さんと結ばれて幸せになると思ってた』
けれどそれは私の勝手な解釈で、最期の最期で目の前の彼が私のせいで不幸になってしまったことを知ったわけだ。
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?(プロフ) - 今までで1番好きなお話に出会えて本当に幸せですㅠㅠ感情移入し過ぎて自分までもが懐かしい気分になってしまい不思議な感覚でした笑主様の文章力ありすぎて考察もしやすかったです、がち尊敬です！素敵なお話ありがとうございました🥹💗💗 (3月17日 7時) (
レス) id: 0539db3d38 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - えねごりらさん» ありがとうございます…！次回作も楽しみにしていただければ…！！(o^^o) (2022年1月26日 17時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
えねごりら - 完結おめでとうございます！！！名作すぎるので何度も読み返します笑次回作も楽しみです！！ (2022年1月26日 15時) (レス) @page42 id: 71d3d1284f (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - えねごりらさん» えねごりらさんコメントありがとうございました…おかげさまで変な終わり方にはなりましたが完結できました…！本当励みになっていたので心からの感謝を申し上げますッ！！ (2022年1月26日 1時) (レス) @page42 id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
えねごりら - すれ違ってる…切ないが溢れ出てます!!ヽ(ﾟдﾟヽ)(ﾉﾟдﾟ)ﾉ!!更新お疲れ様です(о´∀`о) (2022年1月25日 21時) (レス) @page35 id: 71d3d1284f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹葉
| 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時：2022年1月17日 20時
