三十六 ページ37
(一人にしないとか言っておいて、結局君も僕を裏切った)
最期に聞いた彼の言葉が何度も頭の中で再生される。私は裏切ったつもりなんてなかった。
彼には薫子さんがいたから悟さんは一人じゃないと思っていたし、寧ろ私の存在が邪魔になるんじゃないかと思って、好きでもない男の元に嫁いだのに。
それが裏切ったことになるだなんて思わなかった。
あれは過去の私が怖がって言葉にすることを躊躇ったから迎えた結末だ。
『悟さん…ね』
五条君の部屋は硝子が言った通りドアが蹴破られていて、中の様子が丸見えだった。
『よっ、夏油君』
夏油「A！もう大丈夫なのか？」
『大丈夫だよ。五条君は？』
夏油「強く殴りすぎてしまったらしい」
と苦笑する夏油君。男子高校生に全力で殴られたら痛いだろうなと想像して、未だに眠っている五条君に同情の視線を送った。
『助けてくれてありがとう。夏油君』
夏油「…悟、泣いてたんだ」
『………そっか』
それが私のせいだということは疑う余地もない。
五条「…っ……い"っ…」
呻き声を発した五条君に私と夏油君の視線が集まり、私に関しては夏油君の静止を無視して彼の上に乗り掛かる。
『おはよう。巨人』
五条「………。！？近っ！！は？！何してんだよ、お前！」
『何って…夜這い？あ、朝だから朝這いか？』
五条「はぁ！？てか退け！今すぐ！！」
ずっと悟さんのままだったらどうしようかと思ったが、この言葉遣いといい、戸惑いようといい、彼は悟さんではなく五条君だ。ひとまずは良かった。
夏油「目が覚めたばかりで悪いが、昨日のこと、説明してくれ」
五条「昨日のことぉ…？てか今何時……あ？八時って朝の八時かよ？マジ？」
夏油「悟、巫山戯るような場面じゃないことくらい分かるだろ。どうしてAの…」
『ストップ夏油君。多分五条君は覚えてないと思うよ』
夏油「え…？」
『そうだよね？昨日私と外出して体調崩した後から何も覚えてない…違う？五条君』
五条君の様子がおかしくなったのは体調を崩してから。だから必然と悟さんが五条君と成り代わったのはあの後からということになる。
五条「………逆にお前は覚えてんのかよ」
『まあ。あんな出来事忘れられるわけないし？』
五条君は不服そうな顔をしてから上体を起こす。
五条「それ。どうした」
彼の視線は私の首に注がれていた。
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?(プロフ) - 今までで1番好きなお話に出会えて本当に幸せですㅠㅠ感情移入し過ぎて自分までもが懐かしい気分になってしまい不思議な感覚でした笑主様の文章力ありすぎて考察もしやすかったです、がち尊敬です！素敵なお話ありがとうございました🥹💗💗 (3月17日 7時) (
レス) id: 0539db3d38 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - えねごりらさん» ありがとうございます…！次回作も楽しみにしていただければ…！！(o^^o) (2022年1月26日 17時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
えねごりら - 完結おめでとうございます！！！名作すぎるので何度も読み返します笑次回作も楽しみです！！ (2022年1月26日 15時) (レス) @page42 id: 71d3d1284f (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - えねごりらさん» えねごりらさんコメントありがとうございました…おかげさまで変な終わり方にはなりましたが完結できました…！本当励みになっていたので心からの感謝を申し上げますッ！！ (2022年1月26日 1時) (レス) @page42 id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
えねごりら - すれ違ってる…切ないが溢れ出てます!!ヽ(ﾟдﾟヽ)(ﾉﾟдﾟ)ﾉ!!更新お疲れ様です(о´∀`о) (2022年1月25日 21時) (レス) @page35 id: 71d3d1284f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹葉
| 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時：2022年1月17日 20時
