�� - 006 善行とは、誰にとっても嬉しいことをすることだ ページ36
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「この
もう少しで名前を聞けたものを邪魔しやがってぇ！！ と叫びながら抜刀しかけた燐野だったが、振り返ると既に終わっていた。鬼の首は地面に寝転がっており、Aは刀を仕舞っていた。
燐野は半分も空気に触れていない刀身を鞘に戻す。惚気けるばかりだった顔立ちをすっと絞り、眉を平にした。
崩れゆく鬼の前で片膝をつき両手を合わせ親指に額を当てて、成仏してくれ。と囁くAの後ろ姿は聖人に他ならなかった。聖母と言っても良い。
見惚れたのも確かだが、燐野はそれより心配になった。
(この大空を思わせる慈しみ……こりゃあ到底鬼狩りに向いてない……優しすぎる。駄目なんじゃねぇか？ 君はきっと本来は、)
「すまない。話の腰を折ってしまったな」
「あ、いや。君のせいじゃないだろ、それより」
「ぎゃぁぁあ！！」
───大気を
その一秒未満後。Aの鼻を真正面から殴り潰すような腐臭が串刺しにした。反射的に顔を顰めたAは座り込むでもなく戦意喪失するでもなく走り出す。悲鳴という事は即ち──誰かが襲われている。
助けなければ。そう思った。
「お！ おい！ 君は馬鹿なのか！？」
「馬鹿でいい、濃い腐臭がする！ 危険だから君は離れていてくれ！」
「なっ…………───」
ぐぬぬ、と燐野は歯を食いしばった。腐臭の元とやらを前にせずともこの気迫。植え付けられる恐怖。震える手脚。恐ろしいのは燐野だけでは無い筈。少女のAの方が、華奢なあの子の方が立ち向かうのにどれ程の勇気を振り絞る事だろう。
燐野は「だぁぁ！！」と髪の毛を掻きむしった。ずんだ餅の食べ過ぎで草色に変色した直毛がめちゃくちゃに乱れる。
若葉色が鮮やかな刀身を抜いて走る。
「君な！！ 俺が君を一人で行かせるわけねぇだろう！！ 俺は君が好きなんだから！ あーー出会ってそう時間は経っちゃいないが好きだ！ この際だから言わせてもらう！ 最終選別合格したら結婚しないか！」
「……………………」
「なんだその顔！？ 俺の気持ち受け取ってくれねぇならそれでいいがよ！」
燐野が立ち止まり、Aも歩みを止める。二人の頭上でふんぞりかえるのは異形の鬼。腕を幾つも身体にまとわりつけた図体の大きな大きな人喰い鬼だった。
「俺は諦めねぇぞ、だから君は死ぬな、俺の嫁になるまで死なないでくれ」
「すまない。嫁になるつもりはない」
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ミルクリ - 初めまして。とても面白かったです。続きが読みたいのですが�兇離僖好錙璽匹魘気┐討い燭世韻泙擦鵑�？これからも応援しております。 (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 9baecbdda2 (このIDを非表示/違反報告)
コア - 面白かったです �兇離僖好錙璽俵気┐督困韻襪藩�難いです (2021年6月29日 20時) (レス) id: cdf587c2d2 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました！！！続きのパスワードって教えてもらえますかね？これからも頑張ってください (2021年5月14日 22時) (レス) id: 6a10e782a2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おもしろくてとまらなくなりました！守護聖人IIのパスワード教えていただきたいです！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 833cf0aedc (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！ひえ〜嬉し過ぎます…！そんな風に言っていただけて後衛の極みです〜！長編が好きなものでこの守護聖人も他作品もすごく長いですが楽しんで頂けたらと思います！短編もあるので宜しければ覗いて行って下さい〜 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2019年10月25日 13時
