�� - 007 ノウハウで幸福にはなれない ページ37
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「ひっいぃ………」
「大丈夫か。遅れてすまない。もう安心していい。彼は私が冥土に送ろう」
水面に鎬を触れさせるような一刀が巨大な手鬼に拘束されていた青白い顔の少女を解放した。しかしながら、地獄からの天国とは行かず、少女は真っ青な顔で奥歯をカタカタ噛み合わせ、血の巡りがとことん悪そうな指をAの羽織に食い込ませた。
余程恐ろしかったと見える。Aは眉を下げた。そんな表情の変化など前髪で覆われて見えなくなる訳だが、手鬼は違った。
じっ。と見ている。Aを見ている。
「狐。狐、狐だ」
鱗滝手製の狐の面を幾つもの指がさす。ゆらゆらと笑う。地響きを引きずって低くどろりとしたへどろのような声を夜空に塗りつける。独り愉快な手鬼を見上げて絶句する、燐野、少女、Aの三人。まるで地面に縫い付けられたかのように動けずにいた。
Aの上品な紅の羽織がくしゃりと曲がる。握り締める少女の手の甲は
蟲に体内を這いずり回られるような不快感。とてつもない嫌悪感に毛先がちぢれる。
「俺の可愛い狐がまた来たなァ」
「何を言っている」
背中に少女と燐野を庇い、刀を構えるとは逆の腕を平行に伸ばす。その無数の手が二人を襲った時、自分の腕が少しでも時間稼ぎになればいいと思っていた。
「君は大層な巨躯をしているが、それはかなりの数の人々を喰らったから……だろう。元より私は鬼を斬るため、この場に来ている。然し君達が過去に抱えた人間の頃の思い出や記憶を頭の片隅にすら置かないということはしない。けれどその目は腹が立つ」
切っ先を手鬼の眉間に向けやるA。
恐れを弾き飛ばし思いのままを声にする勇敢な背中を、男である燐野が唖然と見つめるしかないと言うのに、二十にも満たない女子であるAは前に出たまま退こうとしない。
「俺は好きだ、可愛い狐が。"鱗滝の弟子"をまた食い殺せるってことだろう？ お前は鱗滝の弟子だろう？ 丸呑みがいいかァじっくり噛み砕くのがいいかァ、楽しい楽しい、どうしてやろうか」
「何故お前が父さ──鱗滝さんのことを」
「知ってるさ。俺を捕らえたのは鱗滝だからなぁ」
「また……食い殺せるとはどういう意味か」
柄を握る白い手がとうとう震え始める。
答えを待つ時間が酷く長い。数秒にも満たない筈が永遠のように思える。
「言葉の通りだよ。お前で六人目だよ、鱗滝の弟子を食い殺すのは」
VI - 001 頭から足先まで正直になれ→←�� - 006 善行とは、誰にとっても嬉しいことをすることだ
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ミルクリ - 初めまして。とても面白かったです。続きが読みたいのですが�兇離僖好錙璽匹魘気┐討い燭世韻泙擦鵑�？これからも応援しております。 (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 9baecbdda2 (このIDを非表示/違反報告)
コア - 面白かったです �兇離僖好錙璽俵気┐督困韻襪藩�難いです (2021年6月29日 20時) (レス) id: cdf587c2d2 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました！！！続きのパスワードって教えてもらえますかね？これからも頑張ってください (2021年5月14日 22時) (レス) id: 6a10e782a2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おもしろくてとまらなくなりました！守護聖人IIのパスワード教えていただきたいです！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 833cf0aedc (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！ひえ〜嬉し過ぎます…！そんな風に言っていただけて後衛の極みです〜！長編が好きなものでこの守護聖人も他作品もすごく長いですが楽しんで頂けたらと思います！短編もあるので宜しければ覗いて行って下さい〜 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2019年10月25日 13時
