�� - 007 返礼ができない人を宴会に招けば、そこは天国のようになる ページ7
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「微熱ですか」
「嗚呼。命に関わるものでは無い。安心するといい」
診察という言葉が適しているかは分からないが義勇の無事を知らせた鱗滝が囲炉裏を挟んでAの向かい側に腰を下ろした。ほっと安堵の息を漏らしたAの顔を天狗の仮面を通して見つめる鱗滝は、どこか煮え切らないような雰囲気を醸し出していた。
一体何が不満なのか。Aは絶対に読み違えるだろうが、彼はそれに納得がいっていなかった。
他人を優先することを当たり前と生きる。善意を善意と思わず善い行いをしてもそれが善い行いであるという自覚を持たず、無条件に誰かを救い無条件に誰かの盾にならんとする。
この子の生き方はとても危ういと──そう思ったのだ。
「A。その包帯はいつ頃取れそうか」
囲炉裏の火で少し夕焼け色を帯びたそれを指す。
Aは今の今まで包帯を巻いていたという事実を忘れていたかのようにはっとそれに触れて、少し顎を引いた。何度かさすってから「正確な日付などは定かではありませんが、あと数十日もすれば傷は塞がるかと思います」口角を和らげてそう言った。
「そうか」
偽りのない真っ直ぐな匂いは本来喜ぶべきもののはずなのに、Aに対してだけは複雑な気持ちになった。この子は本心から心の奥底から嘘というものがない。誰かしらにひとつは存在する隠したい本心というのを、この子は持っていない。
それからは具材の少ない鍋を二人で囲みつつ、現状に至るまでの経緯を話した。己の事よりもやはり義勇に関しての言葉数が多いAの顔を鱗滝は時々相槌をうちながらじっと見つめていた。義勇の心中を想う言葉ばかりが、惨劇の合間に挟まれた。その度。鱗滝の心が痛んだ。
思わず「己をもっと愛してやれ」と口にしてしまう程Aの優しさは目に痛かった。目を丸め何を言っているのか分からないという風に肩を落とす十代前半の童子の姿はあまりに痛々しかった。
「義勇。就寝の前におまじないをかけよう」
虫の奏でる音色が屋内に流れ込んでくる。夜も深くなった。鱗滝がAに気づかれないように蒔を運び入れ終えたその時。
内緒話をする位の小さな声が彼の耳を触った。
義勇は既に眠っているはずだが、Aは目を閉じる彼に返答など何も期待せず優しい声をかけているのだろうか。
「義勇は何も悪くない。義勇は何も悪くない。義勇はとても優しい子だ」
あまりに暖かなおまじないに、鱗滝は暫しの間その場で立ち尽くしていた。
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ミルクリ - 初めまして。とても面白かったです。続きが読みたいのですが�兇離僖好錙璽匹魘気┐討い燭世韻泙擦鵑�？これからも応援しております。 (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 9baecbdda2 (このIDを非表示/違反報告)
コア - 面白かったです �兇離僖好錙璽俵気┐督困韻襪藩�難いです (2021年6月29日 20時) (レス) id: cdf587c2d2 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました！！！続きのパスワードって教えてもらえますかね？これからも頑張ってください (2021年5月14日 22時) (レス) id: 6a10e782a2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おもしろくてとまらなくなりました！守護聖人IIのパスワード教えていただきたいです！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 833cf0aedc (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！ひえ〜嬉し過ぎます…！そんな風に言っていただけて後衛の極みです〜！長編が好きなものでこの守護聖人も他作品もすごく長いですが楽しんで頂けたらと思います！短編もあるので宜しければ覗いて行って下さい〜 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2019年10月25日 13時
