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そよそよと小さい風が吹く屋上に、何やら緊張した様子の者が一人……。
何度目かもわからない深呼吸を深くした後、思い出すかのように「えぇと……」と呟いた。
「……た…確かこう言うんだったけ…。」
「「雪さん、雪さん、おれのお願いごとを叶えてください」……。」
少年がそう言った時、綺麗な声が屋上で小さく響き渡った。
「ふふっ…いーですよ…。」
刹那、風が先程よりも強くなり、少年の目の前で小さい竜巻が起きた。
「……え……。」
風もすぐに止み、薄らと瞼を上げると、目の前にはいなかったはずの少女がいた。
「クスッ………こんにちわ〜。お願いごと……教えてくれる?」
目の前の少女は、ふわふわと浮きながらクスリと笑い、優しく微笑んだ。
少年はその笑顔に見惚れながらもぽつぽつと話し出した。
_
「うーん………恋愛成就………かぁ。」
お願いごとはわかったが、専門外だと言ってお手上げだという感じに両手を小さく上げた。
それを聞いた少年は肩を落とす。
「ごめんねー……私、基本は叶えてあげられるんだけど恋のお願いごとは叶えてあげられないの。」
ぽりぽりと頬をかいて、「経験不足だからなー…」と小さく呟いた。
「多少なりのお手伝いは可能だけど、結ばれたいってことなら別。私の仕事はお手伝いだから。」
だから…… と言って、少年の目の前に立つと、
「君ががんばればいーんだよ!」
と、手を差し伸べながら言った。
「多少なりのお手伝いなら私、出来るからっ。」
ね!
そう言って笑う少女は、少年の目にはとても綺麗に映った。
_
「はぁ〜〜………これで何人目ェ〜?」
数十秒前の事に深くため息を吐いた。
それもそのはず。
先程の少年が振られたと泣きながら去って行ったのだ。
あの光景はもう何度も目撃してきた。
お手伝いをしても失敗続きで一度も叶えてあげられたことなどないからだ。
「………私は恋愛の話は専門外だって言ってんのに…。」
そもそも相談相手が違うとか何故私に頼むんだ、などと愚痴を零す彼女。
すると、ふと人の気配が近づいて来るのがわかった。
「……まーた恋愛相談だったら追い返してやる!」
渋々といった感じにふわふわと向かった。
。
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紅藍泉。(プロフ) - 迷い猫さん» 絵?………絵??()マジすか??結構前のイラストっすよ??褒めていただきありがとうございます!!!! (2021年9月26日 2時) (レス) id: 72d8e8ff48 (このIDを非表示/違反報告)
迷い猫 - 絵が尊い……!←何それ (2021年9月25日 17時) (レス) @page1 id: 639c61a784 (このIDを非表示/違反報告)
紅藍泉。(プロフ) - ミリアさん» ミリアさんすみません、以前友達と合作したことがあるのですが全然続かないということがあり、更新も遅れそうだなと。自分には向いていない気がして多分恐らくは出来ません。申し訳ございませんが他のとても上手い作者様方とやられた方が凄く良いですよ!僕なんかよりも! (2020年6月27日 1時) (レス) id: 652fbe376d (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 紅藍泉。さん» あの、良かったら一緒に合作しませんか? (2020年6月26日 23時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
ミク(プロフ) - そうなんですか!でも生前の名前可愛いですよ! (2020年6月22日 6時) (レス) id: 1e828f9e08 (このIDを非表示/違反報告)
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