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城の内部には簡単に入る事ができた。
御伽の国の城というものはこんなにもセキュリティが甘いものなのか。
御伽の国のメルヘンに血みどろ兵士は似合わないってか。
オロバスとは声に出さずに会話する事ができる。
所謂以心伝心の究極バージョンだ。
テレパシーとも言うのだが。
住人の言っていたとおり、城の中は騒がしかった。
お祝いの宴だなんだので、庭の草木が整えられ、城の内部に飾り付けがなされ、厨房では豪華な料理が作られている。
皆服装が違うのでこの中に紛れても大丈夫だろう。
とりあえず、城の中をまわる。
どの人の顔にも多少の疲れは出ているものの、心なしか疲れの隙間から喜びや期待が覗いている様だ。
所々で持っていた物を足に落とした時の悲鳴や、家具に足の小指を叩き付けてしまった断末魔の叫びが聞こえてくる。
ついさっき通った厨房では誤って食材を床にぶちまけていたが、料理長がスッ……とごく自然な動作でボウルに戻したので、何も見なかったことにした。
城に呼ばれた方にお疲れ様ですと心の中で呟く。
オロバス(早く目的の場所へ行くぞ)
怒られてしまったので妃がいる部屋に向かうべく回れ右をした。
その時だった。
従者｢なりません！ 御妊娠されているのだから、お部屋でお休みにならないと！｣
妃｢何だ。余はただ庭をひと周りしようと思っただけだ｣
従者｢しかし！｣
周りで動いていた人々が一斉に跪く。
妃｢子を身篭ってからもう何日部屋に居ると思っているのだ。運動しないと元気な子が産めぬのだぞ｣
従者｢そ、そうなのですか｣
妃｢そうだ｣
従者｢で、では、僭越ながらお供させて頂きたく……｣
元気なお妃だこと。
腹部がやや大きくなっているので、噂は間違いでは無いだろう。
オロバス(女だ)
ジャック〔妃なんだから女に決まっているだろう〕
オロバス(そっちじゃない。腹の中身だ)
中身とか言うなよ。
オロバス(これでもう確定だな。2人と合流するぞ)
ジャック〔そうだな〕
そう言って、皆が妃に気を取られているうちに城の勝手口から外に出た。
オロバス(2人が心配だ。今飛べるか？ )
ジャック〔勿論〕
因みに2人が心配というのは、2人が何か勝手にやらかしていないか心配だという事だ。特にミクなのだが。
姿を消しミクとグミと別れた所に向かって飛ぶ。
そこに着いた時ミクとグミは居らず、代わりにあったのは血が着いた2人の帽子と上着だけだった。
ラッキーカラー
あずきいろ
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シグレ(プロフ) - すごい面白いと思います！文章力とゆうか語彙力がすごいです！違和感なく読めました (2022年8月22日 21時) (
レス) id: 860ccc7a5a (このIDを非表示/違反報告)
箱白(プロフ) - かわよ...大好き......... (2022年4月23日 19時) (レス) @page41 id: 812304a9b7 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの乳酸菌飲料 - 本日初めて読ませていただきました！物語の構成がとても綺麗で面白かったです……！ (2020年11月8日 22時) (レス) id: 3c06ff6ad4 (このIDを非表示/違反報告)
夜干(プロフ) - Jackさん» ありがとうございます(*´ω｀)頑張ります！ (2020年11月5日 19時) (レス) id: 68f9ca822b (このIDを非表示/違反報告)
Jack - 面白いですね…自分は好きです。 頑張ってくださいね，更新を期待してますので(ﾆｺ) (2020年1月28日 20時) (レス) id: ce46b76302 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜干 | 作成日時：2018年12月24日 23時
