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No side
『魔法使いのお婆様が、この靴も作られたんですよね』
貴女の足に、ピッタリ合うように。
まるでそれを肯定するようにガラスが無機質にキラリと光る。
シンデレラはあの夜の事を思い出した。
そうだ、突然魔法使いのお婆さんが現れて、
ボロ布が、南瓜が、鼠が、
豪華なドレスに、煌びやかな馬車に、美しい馬になった、奇跡の夜。
夢のようだった。できるなら、この夜がいつまでもとさえ思った。
だって、12時になったら魔法は解け、ボロ布を纏い、裸足で、灰まみれのシンデレラに戻ってしまう。
『12時になっても靴がそのまま残っていたのは、靴は何かを変幻させた物では無かったからですよね』
シンデレラはそこに賭けた。
もし、もしも12時にドレスが、馬車が、馬が、元に戻ってしまうなら、
ガラスの靴は何になる？
消えるか、残るかだ。
消えればそれまで、残れば最上級の幸せが手に入る。
『ねぇ、シンデレラ。態と落としたりなど、していませんよねぇ？』
シンデレラが息を呑む。
ここまでわかっていたらそう他人が考えるのも無理はない。
足にピッタリな靴。
足にピッタリならば、余程の事が無い限りは脱げないだろう。
『まあ、いいでしょう』
ジャックは面倒くさいという表情が顔に出てしまっている。
ここでもしも本当に自然と脱げてしまったのだとしても、審議の結果は最初から決まっている。
『そして王子は、シンデレラが落とした靴を拾ってしまった……』
そう言うと、ジャックはにっかりと笑った。
『ドロップアイテムを拾わせたら、ハッピーフラグは成立です』
シンデレラはこれを良と受け取ったらしい。
ラッキーカラー
あずきいろ
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シグレ(プロフ) - すごい面白いと思います！文章力とゆうか語彙力がすごいです！違和感なく読めました (2022年8月22日 21時) (
レス) id: 860ccc7a5a (このIDを非表示/違反報告)
箱白(プロフ) - かわよ...大好き......... (2022年4月23日 19時) (レス) @page41 id: 812304a9b7 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの乳酸菌飲料 - 本日初めて読ませていただきました！物語の構成がとても綺麗で面白かったです……！ (2020年11月8日 22時) (レス) id: 3c06ff6ad4 (このIDを非表示/違反報告)
夜干(プロフ) - Jackさん» ありがとうございます(*´ω｀)頑張ります！ (2020年11月5日 19時) (レス) id: 68f9ca822b (このIDを非表示/違反報告)
Jack - 面白いですね…自分は好きです。 頑張ってくださいね，更新を期待してますので(ﾆｺ) (2020年1月28日 20時) (レス) id: ce46b76302 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜干 | 作成日時：2018年12月24日 23時
