検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:27,416 hit

18ページ目 ページ22

No side

『お待たせ致しました』

そう言って、ジャックは天秤の横に立った。
相変わらず薄ら笑いを浮かべている顔。
そして手にはケンタッキー・ライフル。

辺りが先程よりも明るくなり──明るくと言っても太陽や月、炎の光とは程遠い不気味さを含んでいるのだが──細かな表情までも読み取れる様になった。
にんまりと笑うジャック。


裁判の開廷だ。


『シンデレラ、貴女の物語、観察しておりました。貴女の物語は有名故、これまでに何通りもの物語を拝見しております』


そう言うとジャックはパチンッと1回フィンガースナップをした。
すると、パッと天秤の手前に何冊ものシンデレラの本が積まれた。


『まず生い立ち……母親が若くして亡くなられ、継母に育てられた……。貴女が見殺しにした継母は2人目ですか。次に親類…父親は見て見ぬふり、継母とその娘達は苛め……とんだ親類だ。序盤の設定は最高ですね』

シンデレラ「は、はぁ……合っているわ」
王子「そんな過去の事を掘り返して……何が楽しいんだい」


そんな2人を、ジャックは笑ったまま冷たく睨む。
オロバスは勿論、ミクとグミも黙ったままなので、大変不気味だ。


『そして12時制限のお姫にジョブチェンジ……。貴女はここまでに姫になれるよう努力はしたんですかね?』

シンデレラ「そ、そんなの、我慢してここまで来たに決まってるじゃない! 苛めに耐え抜いたからこそ、今は幸せになってるのよ!」


『……では、王子に問います。もしシンデレラが醜女であっても、貴方は彼女を愛しましたか?』

王子「……え?」


『耳が遠いんですか? たとえシンデレラが醜女であっても、貴方は彼女を好きになっていたかと聞いているのです』

王子「そ、それは……」


『はぁ……一旦保留にしましょうか。どうせ答えは決まってるのだから』

ジャックの考えている答えとは、勿論NOである。
事実、1度しか見ていない町娘のジャックに彼は恋した。
恋と言えるほど繊細で美しくはなかったとは思うが。



『それで、次にドロップアイテムについてですが……』


そう言って、ジャックはマントの中から城から取って来たガラスの靴を見せた。


『ここからは夢や御伽云々は抜きで行きましょう』

19ページ目→←17ページ目


ラッキーカラー

あずきいろ


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (66 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
32人がお気に入り
設定タグ:ハッピーヒロインスナイパー , ボカロ   
作品ジャンル:ファンタジー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

シグレ(プロフ) - すごい面白いと思います!文章力とゆうか語彙力がすごいです!違和感なく読めました (2022年8月22日 21時) (レス) id: 860ccc7a5a (このIDを非表示/違反報告)
箱白(プロフ) - かわよ...大好き......... (2022年4月23日 19時) (レス) @page41 id: 812304a9b7 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの乳酸菌飲料 - 本日初めて読ませていただきました!物語の構成がとても綺麗で面白かったです……! (2020年11月8日 22時) (レス) id: 3c06ff6ad4 (このIDを非表示/違反報告)
夜干(プロフ) - Jackさん» ありがとうございます(*´ω`)頑張ります! (2020年11月5日 19時) (レス) id: 68f9ca822b (このIDを非表示/違反報告)
Jack - 面白いですね…自分は好きです。 頑張ってくださいね,更新を期待してますので(ニコ) (2020年1月28日 20時) (レス) id: ce46b76302 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:夜干 | 作成日時:2018年12月24日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。