貴方の幸せは私が葬る

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No side

そのスナイパーは、上から滑車で引っ張られているかの様に、両脚に力を込めて飛んだ。

それはまるで、背中に翼が生えているかのようだった。




寝室では、シンデレラと王子が手を取り合って気持ちを落ち着かせていた。



シンデレラが怖がって王子に縋り付く。

しかし王子の考えている事は、この国に一夫多妻制を取り入れるべきだということである。

どうやらこの王子、何処ぞの町娘に扮したスナイパーに一目惚れしてしまったらしい。

王子というのは面食いが多いのか。
性格は彼らにとってどうでもいいのか。



この寝室の窓は表に面した大きい窓一つだけである。
少し縁があり、そこに花などを置けるようになっている。
そして、窓は外に中央から開き、カーテンがかかっている。



ジャックは裏から一旦塔の天辺まで登った。
青い満月が、ジャックの顔を照らす。


今日の月は郎月である。
シンデレラの晴れ舞台に、相応しい。


ジャックはあの薄らと笑みをたたえたその目と口元を、また微かに細くした。


ケンタッキー・ライフルを片手にしっかりと持ち、
窓の真上の屋根に立った。

そして、不意に体を後ろ向きにすると、

ケンタッキー・ライフルを持っていない手を支えに、


ヒュッっと、


大きくバック転をした。



スタッと音を立て華麗に着地をしたジャック。

あろう事か、窓はジャックがバック転をした時点でジャックに合わせるかのように開いていた。


カーテン越しにみえる青白い月光に照らされた黒い影。

風が吹き、カーテンを揺らす。



『遠い国からやって来ました』

幸せ絶頂で幕を閉じようとする女は一体どこですか？


『ジャック・スナイパー。幸せの調停者です』

みーつけた。




『貴方をお迎えに、只今参上致しました』

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ラッキーカラー

あずきいろ

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