【文スト短編】悪夢の匣【ヤンデレ】 (ページ13)

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｢盲目｣江戸川乱歩(琴様リク) ページ13

｢A～！！AAA～！！ねぇねぇねぇ無視しないでよ。おーい。ほっぺつんつん～。お返事は？あのね、もう僕怒るよ？？｣

そこまで言われてようやく顔を持ち上げた。乱歩さんは嬉しそうに笑った。

｢うはは！酷い顔だねぇ。僕のせいだね！満足満足！｣

右目なんてほとんど見えない。多分コブになって腫れているんだろう。涙なのか鼻血なのかよくわからないが、顔中温かな液体でぐちゃぐちゃだ。それに叫びすぎて口の端と喉が切れてしまった。

｢ねぇ、なんでこんな事してるかわかる？君は馬鹿で鈍感だからわからないよね！それがまたムカつく。でも大人しくなったのは感心だね。成長したんじゃない？だからもう殴らないであげるよ。｣

そう言ってよしよし、と私の頭を撫で始めた。

｢あのねぇ、君は、もう少し『自分が誰のモノか』っていうのを自覚したらどうなの。僕、もう何回も伝えたよ。｣

そして乱歩さんは私の血だらけの頬を両手でつつみ、少し屈んで目を合わせた。

｢敦とか谷崎は歳が近いから話しやすそうだね。太宰には異様に気に入られてるよね。国木田からはだいぶ信用されているし。でもね、ダメだよ。彼らがなんと言おうと、どんな言葉や行動でAを誘惑しようと、それに着いていく君は大馬鹿者だ。わかるまで何度も言うよ、Aは、僕のものでしょう？彼らになくて僕にあるものはなんだ？君への愛だよ！僕には君に対する愛が、想いが、溢れている。大きくて重くて死んでしまいそうだよ！ねぇ、聞いてる？聞こえてるの？ぼーっとしてんじゃねぇよ！｣

そう言って私の頭を乱暴につかみ壁に押し付けた。痛い痛い、でももう涙は乾いてしまった。

｢……ホントはさ、僕だってAをこんな風にしたくないわけさ。ただ僕に従順に、お人形さんみたいになってくれれば、それでいいの。僕だけを見ててよ。僕はAしか見えてないってのに、君がそうじゃないなんて不公平じゃないか。｣

でもさ、こうやってAのこと殴ったり蹴ったりしてると、その時間だけはAは僕の事しか考えてないわけだから、まぁこれも楽しいんだよね。

そう言って私の額に唇を落とした。