２８★不安な機内 ページ28
俺は予定通りハワイ行きの飛行機に乗った。
(Aさん大丈夫かな…)
今日家を出る時メールして、
それに対していってらっしゃいって返事ももらってたけど、
(なにも起こりませんように…)
１秒ごとにそう祈りたい気分だった。
飛行機から見える広い海や空にも、
いつもだったらめっちゃテンション上がるけど、
今日は全然そんなじゃない。
思わず何度目かのため息をそっとついた時、
「どうかした？」
「え？」
慌てて窓から目を戻したらニノがじっと俺を見てた。
日に当たっていつもより目が茶色く見える。
何でもお見通しって感じのその目が少し怖くて、
俺はフッと足元に目を落とした。
「別に、フツーだよ？」
「へぇ、そう」
「…なんかさ、昨日よく眠れなくて。
緊張してんのかも」
「その割に機内食すげぇ食ってたけど」
「うるせぇよ」
くくっていつもみたいにニノが笑ってくれてホッとした。
こんなじゃダメだ。
これから大事なコンサートなんだから、
ちゃんと頭を切り替えなきゃ。
「あ、ニノちょっといい？」
「うん」
松潤に呼ばれてニノが席を外した。
思わずホッと息をついたら、
(ん？ どうしたんだろ…)
ななめ前の席の翔ちゃんが目に入った。
やたら怖い顔でどっかをにらんでる。
びっくりしてその視線の先を辿ってみたら、
(え、リーダー…？)
ぐったり頭を落として寝てるリーダーがいた。
やっぱ疲れてんのかな…
飛行機乗ってすぐに眠っちゃったんだよね。
つうか最近はいつでもどこでもすぐ寝ちゃうんだけど。
(そういえば…)
リーダーの彼女って、
あれからどうなったんだろうってふと思った。
ハワイに来るちょっと前、
『一応無事に済んだらしいよ手術は』
翔ちゃんと２人の仕事の時に、
確かその話になったんだっけ。
『あ、そうなんだ？ よかったじゃん』
『けど…』
『けど？』
『いや、俺も詳しく聞いたわけじゃねぇんだけどさ』
そう前置きしてから、
翔ちゃんはグッと声をひそめて言った。
『なんかさぁ…目。
覚めないらしいんだよ』
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作者名：薫子
| 作成日時：2017年12月15日 17時
