☆∴.･*.･いのちのうた∴.･*.･:☆Masaki Aiba・2017年ハピバ企画 (ページ23)

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２３★変化の訪れページ23

けど笑っていられたのはほんの最初だけで、
変化はすぐに訪れた。

「…っう…」

「大丈夫Aさん、気持ち悪い？」

いわゆるつわりってやつ。
けどそれは俺が聞いたことのあるようなやつより全然ひどくて、

「苦しいね、苦しいよね…」

必死で背中をさすってみるけど、
吐くほど食べてないせいもあって本当に吐き気だけで、

「…っ、」

「水飲む？ …ってごめん、無理だよね…」

水すら戻しちゃうような状況は、
もちろんAさんの方が辛いに決まってるけど、
見てるこっちまで参りそうになるぐらいだった。

「大…丈夫…ですから…ね？」

「けどっ！」

「ううん。もう行ってください」

細くて冷たい指が俺の腕をつかむ。
こんな時なのに俺は仕事に行かなくちゃいけなくて、

「大丈夫ですから、本当に。…ね？」

にっこり笑うAさんは、
知らない人みたいにすごくキレイに見えた。

「ごめんね…」

たまらなくなってぎゅっと抱きしめた体は、
前よりもずっと細くなってて、

(Aさん…！)

もうこのまま消えてなくなっちゃうんじゃないかって、
本気でそう思うくらい怖かった。