☆∴.･*.･いのちのうた∴.･*.･:☆Masaki Aiba・2017年ハピバ企画 (ページ19)

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１９★願いは１つページ19

「もしもの時は彼女を…妻を、助けて下さい」

次の日、改めて来た俺の前で宮本先生が絶句した。
そりゃそうだよね、
昨日の今日でそんなこと言われたらさ。

「ちょ…とっ、とりあえず落ち着いて下さい」

「落ち着いてます」

「いやしかし相葉さん、
それは昨日ご夫婦で出された結論とは全く逆じゃ、」

「お願いします！
妻にはあとから僕が…
だから彼女だけは絶対助けて下さい、
お願いします！」

同じことを繰り返してまた頭を下げた。
本当は昨日の時点で、
Aさんの病室を出てすぐ切り出そうと思ってた。
けど先生に次の予定があって話せなかっただけ。

「僕の気持ちは初めから…
ずっと、変わってないんです」

先生の目がスッと細くなった。
言ってることが全然違うじゃないかって思ってんだよね。

「けど彼女は…今の妻には、
赤ちゃんがいるっていうのが生きる希望で」

「…」

「もし今無理に手術を受けさせて…
その希望を奪っちゃったりしたら、なんかもう…」

泣くつもりなんかない。

「…今度こそ、壊れちゃうんじゃないかって」

けどハッキリ『壊れる』なんて口にしたら、
想像以上にリアルな恐怖がこみあげてきて、
勝手に視界が滲んできた。