１１７◇呼べない名 ページ33
※第１章第１話の、Aちゃんサイドの場面です。
.
ふとカレンダーが目に入った。
その日には別に花マルなんてつけてないけど、
(あと２週間かぁ…)
やっとここまでたどり着いたって感じがする。
準備が大変で疲れたというよりは、
違う世界に足を踏み入れたことを実感させられるような―――
『ごめん。ちょっと当分そっち行けねぇわ。
すんげぇ張り込まれてんのよ今』
『分かった』
『そっちは平気だと思うけど…
あーあと、見んなよあんまり』
『え？』
『だから…雑誌とか、テレビとかさ。
免疫ねぇと結構くらうから、好き放題言われんのって』
結婚が公表されてからはそんなことばかりで、
要するに精神的な疲れの方が大きかった。
(今からこんなじゃ…)
結婚した後どうなることやら、
考えないようにしていてもやっぱり怖い。
平穏な生活なんてこの先手に入るんだろうか。
妻なんて座、本当に私に務まるのだろうか…
「…なに、緊張してきた？」
不意に聞こえた声に我に返った。
今日は本当に何ヶ月かぶりにこうして家で会えたわけだけど、
「見てたら分かるっての」
ニヤリと笑うこの人は憎らしいほど淡々としている。
…ように見えて、
意外とそうでもない部分に気付いたのはいつだっただろう。
「…でも同じでしょ、そっちも」
私の切り返しに、
ぐっと詰まった顔を見て思った。
この人はきっと今でも、
【役柄】を通じてなにかをこなす方が得意。
「タノシミダナァ新郎謝辞」
「いやいやいや、棒読みにもほどがあるよね(笑)」
そんな人が私を…
私のことを、彼【個人】として選んでくれた。
私も同じように彼を大切に思ってる。
それなのに―――
「頑張ってね、二・宮・和・也・個人として」
それなのに私はまだ彼のことを、
どうしても名前で呼べないでいる。
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薫子(プロフ) - なるちゃんさん» コメントありがとうございます(^^) 作者的にはかなり苦労した作品でしたが、面白かったと言っていただけてそんな記憶も吹っ飛びました。ドラマになったら…相当暗い話になりそうで考えただけで冷や汗が(笑) 最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました！ (2019年9月22日 22時) (
レス) id: aa5d845008 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - 完結、ありがとうございました！あー！楽しかったぁ！泣いたり笑ったり、とてもおもしろかった！ドラマにしてもらいたいくらいよ〜〜！ (2019年9月22日 8時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
薫子(プロフ) - さやさん» こんばんは！いやぁ、ホント動かなさ具合ったら容赦なくて泣かされました…「だからぁ、この流れじゃ次どうにも動けないっつってんの」とチラ見もされずに言い放たれる感じ（伝われ）。最後までお付き合いいただきありがとうございました！ (2019年9月16日 22時) (レス) id: aa5d845008 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 薫子様!!!!!完結お疲れ様でした。頭の中で、和さんゲームに熱中し過ぎてんのかな？動かないわぁと気にしていました。最後まで丁寧にありがとうございました！ (2019年9月16日 21時) (レス) id: 4ca326b9cd (このIDを非表示/違反報告)
薫子(プロフ) - さやさん» お久しぶりです♪ド中心直撃ではなさそうだけど「嵐が来るぞー！」だよね。大きな被害が出ませんように(>_<) そして大野夫人の眠り姫設定を忘れてた私…うん、文字数の関係で書き換えられないけど、【俺に似てるとこ】優先なパパ心ってことでよろしくですw (2019年8月14日 23時) (レス) id: aa5d845008 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：薫子
| 作成日時：2019年3月24日 11時
