番外編 トランプ問題 ページ48
「ねえねえ、真衣ちゃん」
玉狛のソファーで転んで本を読んでいると、栞と後ろに陽太郎と桐絵の姿が見えた。
心を読んだら要件は分かるが、今回は手を見ると何がしたいか分かった。
「トランプ？」
栞たちは何も言わずに、私に笑みを浮かべた。
「私とトランプはやめた方がいいよ。私、嫌でも勝っちゃうから」
そう、この心を読むサイドエフェクトは嫌でも半径十メートル程の心の声が聞こえる。
いくら私が結構音を下げれるようになったからと言って、完全に下げれている訳では無いので、トランプ等をしても手持ちの札が直ぐに分かるのだ。
トランプに限らずに、将棋やチェス等も相手の思考が読めるので、ゲームにすらならない。
「うーん、確かにそうだね。ということは、真衣ちゃんはこういうカード系のゲームはやらないの？」
栞の問いかけに、私はコクんと頷いて、答えた。
「私はこの手のゲームを一切しないよ。どうせ勝っちゃうしね」
そう言うと、陽太郎に、
「ぐぬぬぬ、そんなこと言ってやってみないとわからないだろ！」
と言われたので、仕方なく1回だけトランプゲームをすることになった。
「トランプって言っても色々種類あるけど、何する？」
しばらく栞と桐絵は悩んで、
「ブラックジャック」
「スピード」
とそれぞれ答えた。
いや、もう少し分かりやすいやつにしようよ。
陽太郎ルール分からないでしょ。
私は心の中で突っ込んだ。
そして陽太郎は、
「トランプタワー」
と答えた。
「おい、ゲーム要素どこいったよ」
さすがの私も口で突っ込んだ。
結局、いちばんシンプルなババ抜きをして結果はご察しの通り、私が1番。2番が陽太郎で、3番が栞。
ババになった桐絵が「もう1回！」とムキになって、もう一度ババ抜きをさせられたのは言うまでもない。
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作者名：panrou x他1人 | 作成日時：2018年10月24日 1時
