心が読める、B級隊員【ワールドトリガー】 (ページ29)

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25話 (過去) ページ29

私には友達と言える人が存在しない、1人を除いて。

「大丈夫、真衣？」

そう言って、心配そうな顔で私を見てくる少女。

「うん、別に問題ないよ。彼奴ら私をいじめて楽しんでるだけだから。飽きたらすぐ帰るし」

心配させるまいと、私は彼女に笑顔を作った。

彼女は、山城ミキ。

私に対し負の感情を抱かなかった、当時では唯一の人物。

心のなかも純粋でとても綺麗で、自由奔放な性格。

好きなことをそのまま言ったり、行動に表すので、心を読む私にとっては、最高の癒しとも言える人物だった。

「それにしても酷いよねー」

「んー、別に私はそれほどキツいとは思わないけど・・・」

「いやいや、彼奴らが真衣にやってる事普通の女子中学生じゃ精神崩壊レベルだよ！？」

私達は帰路に着きながら、二人でそんな事を話していた。

私の中では彼女と話しながら帰るこの時間こそが、唯一の楽しみであった。

帰り道がほとんど一緒なので、まあまあな時間話せるのだが、そんな時間も一瞬のように感じてしまう。

毎度毎度、この時間がもっと続けば良いのにと思っていた。

「それじゃあ、また明日ねー！」

「うん、また明日」

そう言って、今日も二人は別れた。

私は別れた直後の今から、明日のこの時のことを待ち遠しく感じた。