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12話 ページ15

私達はブースに向かって二人、歩いていた。


「おい、聞いたか?忍田本部と、あのB級だけどA級を鬼の如く蹴散らす心を読む女が模擬戦するってよ」


「おお、マジか!見に行こうぜ!」


通り過ぎて行ったのC級の会話を聞いて、私は溜息を付く。


全く、何時盗み聞きしたのやら・・・


てか、鬼の如くA級を蹴散らす心を読む女って、お前は私を何と思っているのかと心の中で突っ込む。


私と忍田さんが模擬戦をするという話がこの短時間で広まり、静かだった平日の午前のブースは、いつもより賑やかになり、いつの間にか先程まで居なかったカゲさんや、生駒さんまで居た。


てか、居るじゃん!丁度良いくらいの人達!


私は何故今になって来たと少し恨んだ。


それから、私達はブースに入り、戦闘の準備をする。


私にはボーダーで勝てない相手が4人程居る。


忍田さん、迅さん、天羽、カゲである。


ノーマルトリガー最強の忍田さんや、S級の迅さん、天羽はともかく、カゲさんにも私は勝ち越した記憶はあまり無い。


その理由としては、私はカゲさんの心が読めないからだ。


理由は不明だが、恐らくカゲさんのサイドエフェクトも心に関係のあるものと言うことが関係していると私は思っている。


因みに、その逆も然りで、カゲさんも、私にはサイドエフェクトが通用しないらしい。


その為、純粋な攻撃手同士の戦いとなるので、私が勝つのは殆ど無理なのだ。



その後、何やかんやで私達は準備が整い、忍田さんと私はトリガーを構えて、両者何時でも戦闘が開始できる状態であった。


「久しぶりだな、お前との模擬戦は」


忍田さんは私に話しかけてくる。


「そうですね。ここ、半年は戦ってませんからね」


「ああ。だから私はお前の成長を期待している。思う存分、本気でぶつかって来い」


忍田さんは私に優しい笑顔を見せながらそう言った。


ははは、本気でぶつかって来い・・・か。


全く・・・笑えてきますよ、忍田さん。


「本気で戦っても勝てない相手に、本気を出さずしてどうしろって言うんですか?」


私は普段は見せない少し幼いが、楽しそうな笑みを零しながら忍田さんに言った。




──忍田 対 早川 10本勝負。模擬戦開始───


静かだった空間に、戦闘の開始を知らせるアナウンスが響いた。

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作者名:panrou x他1人 | 作成日時:2018年10月24日 1時

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