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10話 ページ13

「・・・ろ!おい、しっかりしろ!」


その声にハッと私は目を覚ます。


目の前には心配そうに私を見ている忍田さんが居た。


「はい、大丈夫です。ごめんなさい」


「いやいや、良かったよ。相当魘されていたが・・・」


「そうですね。また、過去の夢を見てしまって」


そう言うと忍田さんは、「そうか」とだけ言って、これ以上この話に触れようとはしなかった。


忍田さんは私の過去をボーダーの中で唯一知っている人だ。


私の酷い過去を受け入れてくれて、私の居場所、ボーダーに入隊させれくれたのも忍田さんだ。


だから、私は忍田さんには感謝し切れないくらいお世話になっている。


「迅が真衣がヤバそうだから行ってやってくれと言う連絡が入ってな。迅達は来れそうにないから代わりに私が来たという訳だ」


「成程。そういう事だったんですか」


今回は、迅さんに感謝しないとな。


そう思い、私はまたぼんち揚か何か持っていこうかなと思いながら一人クスッと笑った。


しかし、嫌な夢だったな。


この夢は偶に見ていたが、今回は一段と酷かった。


夢なのに、本当に起こるのではないかと思った程だ。


そう思うと寒気がしてくる。


そして、私は無意識のうちに小刻みに震えていた。


わたしが震えていることに気がついた忍田さんは、


「そうだ、暖かいスープを作ったのだが食べれそうか?」


と、気を使って尋ねてくれた。


私は、「頂きます」と言って、有難くスープを頂くことにした。


忍田さんの作ってくれたスープは確かに美味しかったし、身体は温もった。


しかし、身体の震えは止まらず、今も尚夢の恐怖に私は震えていたのだった。

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作者名:panrou x他1人 | 作成日時:2018年10月24日 1時

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