9話 ページ12
私の目の前には、過去の映像が広がっていた。
いつ頃かは思い出せない。
ただ、幼い私が”誰か”の精神を蝕んでいっている映像であることが分かった。
心の奥深く、深層意識の奥深くに有るトラウマ。
そのトラウマを”誰か”に思い出させて、”誰か”の心を蝕んでいく。
”誰か”はもう止めてと懇願するが、私は一向に辞める気配はない。
「お前が悪いんだ、お前が悪いんだ・・・」
そう言って、”誰か”を精神的に殺している私の眼は私の目で無かった。
違う!私じゃない!こんなの私じゃない!
そう、私は自分に言い聞かせる。
しかし、過去の私はそれでも尚、精神攻撃を止めない。
トラウマだけでなく、”誰か”の秘密、黒歴史までも皆に暴露する。
私の言葉に”誰か”を笑ったり、煽ったりするクラスメイトの姿。
既に、精神的に参ってしまった”誰か”。
皆、私から見れば見苦しく、恐ろしい光景だった。
だが、そんなことよりも一番恐ろしかったのは・・・
「ははは、ざまあないわね。そのまま、心以外も壊れちゃえ!」
人の心を弄び、高く笑う私の姿であった。
夢ならば早く覚めてくれ!
すると、私は精神攻撃を止めて、私に目を向けた。
私に不敵な笑みを浮かべ、乾いた笑いを零しながら、私に言った。
「これはお前が望んだチカラだ。さあ、早く”もう一人の人格”を!」
そう言って私に、手を伸ばす私。
「嫌、来ないで!嫌!」
そう叫ぶも、私は私に手を伸ばし、私を多い被せる。
夢だとは分かっている、早く覚めて!
私は苦しみながら、そう願った。
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作者名:panrou x他1人 | 作成日時:2018年10月24日 1時