【話集】fluff

1-15 childhood ページ15

若武side

授業前のアーヤの様子が気になって授業中も少し落ち着かなかった。

黒木と上杉に帰りにアーヤに直撃しようという主旨のメールを送ったら、黒木からアーヤは目立つのを嫌がるから目立たない、門より少し離れた場所で待つことを提案され、それに従うことになった。

俺と黒木は最後のコマが一緒で最後の10分間が自習や質問タイムだから早めに抜けて今ここにいる。上杉もそうだったようで少し遅れて集合した。


でも、俺らが集まった5分後くらいにアイツも現れた。


「くそっ、アイツが来やがった。」

「もう少し様子を見てみるか。」

そうして俺らが様子を見ていると、アーヤが慌てて玄関から出て来て、アイツと話している。

「直撃するか。」

そう言って俺が飛び出したとき、アイツが屈んでアーヤに自分のマフラーを巻いてそのままアーヤとアーヤの帰路を一緒に歩いて行った。

「もうやめようぜ。」

上杉が俺の腕を掴んでそう言う。

「なんでだよ、気になんだろ！」

「じゃあ、お前らだけでやってろ。」

そう言うと、上杉はアーヤが帰った道と逆方面に歩み出して行った。

「なんだよ、勝手な奴。」
俺が上杉の後ろ姿を睨んでいると、

「じゃあ俺らだけで行く？」

黒木がそう言って歩き出す。きっと上杉先生は耐えられなかったんだろ、そんな目線を俺に送りながら自嘲的な笑みを浮かべる。

俺らは街灯の中を進んで行った。

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