第9話 ページ11
天光丸は無理やりそれを振り払う
それに気づいたら弱くなってしまう気がしたから
傷が癒えてしまう気がしたから
だから、だからそこ、気付こうとしなかった
もう、天光丸は、悲しみたくないのだ
……何もわからなくてもいい
何も信用出来なくてもいい
もう、希望も光も、自分の仲間も
何も求めないから
だから……！！
もう、苦しませないでくれ……！！！
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
天光丸side
翔唯「大丈夫だ…大丈夫だからな…」
…なんで…なんで…動けない？
天光丸「はなせよ！！！」
何故、この手を振り払う事ができない？
どこかで愛しの君の声がする
それを無理やり振り払う
君はもうどこにもいないのだから
思い出しても苦しくなるだけだから
必死に抵抗する
いやだから、
きらいだから
憎いはずだから…！
翔唯「……大丈夫だよ…」
……抵抗したいのに…
天光丸「…ｯ…なん…で…！！」
あぁ、苦しい
無理やり離れようと腕を掴み、力を込める
…こんなことをしないと、
…人を傷つけないと離れることが出来ない自分に嫌気がさす…
翔唯「…いっ…！？！ごめ……」ﾊﾟｯ
やっと解放された……
痛い
苦しい
何故そうなっているかは気づいている
でも、それに気づいたら、
認めたら、縋ったら
あいつらを裏切る気がして
あぁ、あいつたちが居なくなった時にとても似ている
嫌でも浮かんでくる、仲間だった奴らのいなくなる時になる音。
血溜まり
鉄くず
あの笑顔
それをもう、思い出したくなくて
天光丸「…俺に必要以上に関わるな！！
……奪ったのはお前ら人間だ！
俺達が苦しむ必要などなかったはずだ…！
全部…！全部…！！人間どもの醜い欲望のせいだ…！！！」
俺は…俺は悪くない…！！
ぐっと手をにぎりしめる
自分の気持ちなんてもうどうでもいい
……だから、
．
…頼むから……
．
もう…俺
．
…
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作成日時：2019年9月22日 0時
