薄桜鬼〜三番組組長の右腕〜

出陣 ページ17

京に長州の藩兵が押し寄せ町は慌ただしくなっていった｡
新選組は会津藩から正式な要請が下り､長州制圧のため出陣｡
山｢沖田くんと藤堂くんは屯所で待機してください｡私もご一緒しますから｡｣
沖｢まぁしょうがないよね｡本調子じゃないし｡｣
平｢あーぁ､待機とか退屈すぎ｡｣
山｢君達は傷さえ癒えれば表舞台に戻れますよ｡それに比べて私は...｡｣
山南さんの自嘲にも慣れてしまった｡
沖田さんも平助さんも皆さんもきっと同じで､気にせず受け流した｡
でも千鶴はまだ慣れていないみたいで俯いていた｡
千鶴も伝令や怪我人の手当をする人員として同行することになっている｡
だから少しは気が楽になるかもしれない｡
もちろん戦場に行くから､遊びじゃないし気は抜けないけど｡

伏見奉行所まで辿り着いた新選組｡
門のそばにいる役人に局長が近づき要請により馳せ参じた意を伝える｡
けれど役人は通達は届いていないと顔をしかめるだけで｡
貴｢内輪の情報伝達さえままならないなんて､戦況はあまり良くないのか｡｣
雪｢それって...幕府側の勢力が長州側に押され気味だってこと？｣
私の呟きに千鶴が小声で続く｡
斎｢そうとも限らん｡...しかし敵方に翻弄されてはいるのだろうな｡｣
結局新選組は予備兵扱い､九条河原で待機させられてしまう。
雪｢今は待つしかないんですね｡｣
貴｢千鶴､休むようなら言って｡まだ戦場に慣れていないし｡｣
雪｢うん｡でも大丈夫｡｣
そう言った千鶴は気を張りすぎたのか､明け方頃には半分眠っていた｡
貴｢お疲れさま｡｣
斎｢A､雪村への気配りも良いが､あんたは休まなくて大丈夫か？｣
貴｢私は慣れていますので｡｣
斎｢疲れたら言え｡｣
貴｢はい｡｣
雪｢ん...｡｣
うたた寝していた千鶴が目を覚ました直後...
ドオオオン...
爆音が京の都に響き渡った｡

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