蝶血鬼 ページ31
土方さんを支え道を進む。
視界が開けた先には月灯りに照らされた遅咲きの桜が凛と立っていた。
貴「きれい...。」
佇む私達の前を一匹の蝶がひらひらと舞い桜へ飛んでいく。
土「お前は蝶みたいだな。」
貴「え?」
土「初めてお前が舞ってるとこを見た時思ったんだよ。花の中を優雅に舞う蝶みたいで、その異色の目が綺麗だってな。」
貴「...蝶血鬼。」
土「ちょう、けっき?」
貴「高月の里にいた頃、私は人々からそう呼ばれていました。鬼の中でも名はまたたく間に知れ渡り、『高月の蝶血鬼』で通るようになりました。だから、私は蝶が嫌いだったんです。」
土「咲耶...。」
貴「でも、あなたに蝶みたいと言われて嬉しかった。これからは蝶を好きになれそうです。」
土「そうか。」
貴「...土方さんは桜だと思います。」
土「俺が、桜?」
貴「いつも凛として立っていて私達を見守ってくれている。美しく、力強い意志で私達を導いてくれる土方さんには桜が似合います。これからも一緒に見たいです。」
土「あぁ、そうだな。」
私に笑いかけた土方さんは、はっとして顔を上げた。
風「...生きて、いたんだな。」
貴「風間さん。」
土「まさか蝦夷まで来るなんでな。俺が死んでいたらとんだ無駄足じゃねぇか。」
風「鬼は誓いを守る。羅刹というまがい物を滅するためにここに来た。」
貴「土方さん...。」
土「お前をここまで連れてきたのはあいつだろう。なら俺は誠の武士として答えなきゃなんねぇ。咲耶、お前は最後まで見届けてくれ。」
貴「わかりました。」
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悠子(プロフ) - 幸せな終わり、最高 (6月14日 20時) (レス) @page35 id: 111cc98bac (このIDを非表示/違反報告)
咲耶(プロフ) - 最後まで読んでいただきありがとうございます!そこまで思ってもらえるなんてとても嬉しいです!ありがとうございます^^* (2018年12月29日 19時) (レス) id: 5d27d89fab (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - 涙が止まりませんでした………あぁこの二人の娘になりたい(泣) (2018年12月29日 2時) (レス) id: 98b8c85960 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲耶 | 作成日時:2017年5月10日 21時