偽×偽＝恋？ 【赤司征十郎】

ニセモノ06 ページ7

『えぇっ、同い年！？』





お昼頃、とあるファミレスに私の声が響いた。






向かいに座っているのはついさっき私の偽の恋人になった、赤司征十郎君。同い年らしい。






「ああ、ここの近くのＩ大に通っている」






『学校まで同じっ！？』






私の反応を横目に赤司君は注文していたコーヒーを啜った。






『しかも、赤司って言ったらあの日本有数の大財閥…っ！』






私がそう言って頭を抱えると、彼は困ったように笑った。






「その言われ方はあまり好きではないんだ。俺は君と変わらない普通の大学生だ」






そう言って笑う彼は何処か寂しそうで。






きっと、今までにもこういう対応をされてきたんだろう。






何だか暗くなってしまった空気を振り払うように話題を変えた。






『そういえば、赤司くんは何学科なの？』






「経済学部の特進だよ」






……は？
こいつ、今なんて言った？






『トクシン？』






「うん、特進」







めっちゃ頭いいんじゃん！！
なんか凄い人と恋人(偽)になっちゃったよ！！







なんか変な汗ダラダラ出てきたー！！
どぉしよー！！
私学科でも下から数えたほうが早いのにぃっ！！






すると彼から予想通りの質問が返ってきた。







「柊は何学科なんだい？」







私は変な汗をダラダラかきながら、赤司くんと目を合わせないように答えた。






『法学部デス』






「何故目を逸らす」






赤司くんがそう言ったかと思うと、私の顔がぐりんと彼のほうを向いた。






『い、だだだだたっ！！く、首がぁ！！』





花も恥じらう女子大生とは思えない声を出す。







彼はそのまま顔を掴んだまま問うた。







「法学部での成績は？」







『しっ、下から数えて、15番目ぐらいっ！！』







私の返答を聞いた彼はパッと手を離す。
その双眼には驚きの色が浮かんでいた。






「ほ、本気で言っているのか？」







『本気だよ！！こんな嘘ついてどうするの！！』






私が言うと赤司くんはふっと吹き出した。






『何よー。そんなにおかしい？』






「いや、なんか柊らしいなと思ってね…っ。ふっ…』






そう言ってまだ笑っている赤司くん。







暫く彼の笑いは止まらなかった。

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