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ニセモノ25 ページ26

赤司視点






Aが出て行った扉を暫く見つめていた。








「赤司くん…?」


「……ん?何だい桃井」








急に静かになった桃井たちを見る。
皆んな戸惑った様子で俺を見ていた。







「何だ」


「いや、彼女さん追いかけなくていいんスか…?」


「追いかけるも何も、道場へ行くと言っていただろう」








俺がそう言うと黄瀬は黙り込む。








「虹村さん、練習再開しましょう」


「お、おう…」








俺の要求に虹村さんは戸惑いながらも返事をして、他の部員に再開の指示を出した。
















練習後。
あれから数時間、無心で練習した。









あの飲み会の日から。
あの日から少し自分がおかしい。
あの時、俺にワカメを食べさせようとしたAに少なからずドキッとした。
顔を赤らめ箸を差し出してくる彼女が可愛いと思った。






その顔を、俺だけに向けて欲しいと思った。








その気持ちがさっきも働いたんだ。
皆んなに見せ付けてやりたかった。
まぁ、偽の恋人なのだけれど。







自分で見せておいて、勝手に嫉妬した。
俺よりも先にAに会って話していた黄瀬に。
俺も近づいたことのない距離で彼女と話す青峰に。
胸がモヤモヤした。







「ふっ、心が狭くなったな俺も」









そう自分を自嘲してみる。
そうだ。
彼女に会ってから俺は心が狭くなったのもしれない。








道場が視界に入った。
このモヤモヤの正体は彼女に合えば分かるだろうか。
そう思い立ち、道場を目指した。









道場は思いの外静かだった。
中に入ると道着のままのAが。
近くによるとすーすーと音が聞こえた。
それが彼女の寝息だと気付いて少しホッとする。






座って寝ている彼女の横に静かに腰を下ろす。
それとあいなしに彼女の頭が俺の肩にこてん、とのった。








『…あか、し…くん』


「っ!」








寝言だ寝言。
分かっているのに、どうしてこんなにドキドキするんだ。







そこで分かってしまった。
一番あり得ないと自分で思っていた感情に、気付いてしまった。








俺は偽の恋人に、会って数日の女の子に_______…。

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設定タグ:黒子のバスケ , 赤司征十郎 , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛
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にくじゃが(プロフ) - ののかさん» ありがとうございます〜(*^^*)作品出すの勇気いりますよね!分かります。私もこの作品出す時ドキドキしながら出しました笑どんなタイミングでもそう言っていただけるのは嬉しいです!ありがとうございます!! (2015年9月23日 15時) (レス) id: d85cedf14b (このIDを非表示/違反報告)
ののか - すごく面白いです!私も出したいけど出来たらこんな感じでいい話にしたいな〜なんてね!完結おめでとうございます!((今じゃあないけどね…笑 (2015年9月23日 14時) (レス) id: 36662ddfca (このIDを非表示/違反報告)
にくじゃが(プロフ) - Yoonaさん» ありがとうございます(T_T)お陰様で完結する事が出来ました!!読んでくださりありがとうございました!! (2015年8月12日 20時) (レス) id: d85cedf14b (このIDを非表示/違反報告)
Yoona - 完結おめでとうございます(*´∀`*)おもしろかったです! (2015年8月12日 17時) (レス) id: 9cb78d64a3 (このIDを非表示/違反報告)
にくじゃが(プロフ) - Raraさん» ありがとうごさい(*^^*)頑張ります!! (2015年7月17日 20時) (レス) id: d85cedf14b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:にくじゃが | 作成日時:2015年5月6日 23時

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