Coffee 15 ページ15
翌日の大学は運悪くそらるさんの講義があった。
痛む腰に鞭を打って、重い足取りのまま後ろの方の席に座って始まるのを待つ。
すると隣にわざわざ時間をずらして学校に来たまふくんが座った。
「あっぶない、遅刻するとこだったー!」
そこら辺にいる講義中にもイチャつき出すようなカップルみたく肩をぶつけて。
席はそこそこ空いてるのに隣に座って。
『まふくんこの講義取ってたの?』
「そらるさんの講義だしねー」
『……そっか』
「僕と一緒なの嬉しい?」
『別に……』
「えーボクはAちゃんと一緒なの嬉しいけどなぁ」
頬杖をつきながらこちらを見てニコニコと笑う。
まるで本当に付き合ってるみたい。
まふくんの方をちらりと見ると視線が絡まって、金縛りにあったみたいに体が硬直した。
逸らせない目。
周りのものに全てぼかしがかかったように、世界で2人だけ取り残されたかのように。
彼の瞳に映る自分をぽーっと見つめる。
まふくんがん?って眉をちょっと上げて、動けないのを分かっているように、少し馬鹿にするように目で話しかけてくる。
言葉を発することもできずただただその線の細い端正な顔を見つめたまま。
「はーい遅れてごめんねー始めるよー」
のろのろそらるさんが講義室に入ってきてやっと開放されたかのように動きを取り戻す。
止めてた息をほうっと吐き出して、ぱっと前を向けば今度はそらるさんと目が合った。
私、こんな後ろに座ってるのに見つけてくれるんだ。
そう思って心が少し軽くなる。
今度は金縛りのようなことは起こらず、むしろそらるさんの方がふわんっと微笑んで目を逸らした。
その笑顔は本当に幸せそうで、嬉しそうで。
まるで、Aが好きだよとでも言うようだった。
425人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らむちゃ - ドキドキ止まりません!更新頑張ってください!! (2021年12月16日 22時) (レス) @page31 id: def79cd7ab (このIDを非表示/違反報告)
はるあい(プロフ) - 更新楽しみにしてます (2020年8月28日 6時) (レス) id: 4f962c0dc1 (このIDを非表示/違反報告)
はるあい(プロフ) - いつも楽しくみてます!ドキドキ感がたまらないです!これからも頑張ってください! (2020年6月28日 21時) (レス) id: 4f962c0dc1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - はるあいさん» ありがとうございます〜!!更新がんばります! (2020年6月13日 17時) (レス) id: 689f20101f (このIDを非表示/違反報告)
はるあい(プロフ) - 毎回面白いです。続き待ってます! (2020年6月1日 6時) (レス) id: 4f962c0dc1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ